第99 回

嫌な夢ばかり見る原因は?精神状態と悪夢の関係や対処法を解説

嫌な夢ばかり見る原因は?精神状態と悪夢の関係や対処法を解説

繰り返し見る嫌な夢に、心身の疲れを感じている方は少なくありません。

目覚めたあとも気分が沈んだり、眠ること自体が不安になったりすることもあります。

嫌な夢には、ストレスや不安、生活リズムの乱れなど、さまざまな要因が関係しています。

中には、精神的な病気や睡眠障害が背景にある場合もあり、注意が必要です。

この記事では、嫌な夢ばかり見る原因や考えられる病気、自分でできる対処法について解説します。

嫌な夢ばかり見る5つの原因

嫌な夢ばかり見る5つの原因

嫌な夢ばかり見るときのは、単なる偶然ではなく、心や体の状態が反映されていることがあります。

ストレスや不安、生活習慣の乱れなど、いくつかの要因が複雑に絡み合っているケースも少なくありません。

ここでは、悪夢につながりやすい代表的な5つの原因について、順番に見ていきましょう。

(参考:不眠症|健康日本アクション支援システム

1:ストレスや疲労の蓄積

ストレスや疲労の蓄積

嫌な夢を見る原因として最も多いのが、日々のストレスや心身の疲れです。

ストレスが続くと脳が緊張状態になり、不安や恐怖の感情が夢に反映されやすくなります。

特に、仕事のプレッシャーや人間関係の悩みなどが重なると、感情のコントロールに関わる脳の働きが乱れ、悪夢として現れることも。

さらに、睡眠不足や過労による身体的な疲労も自律神経に影響を与え、眠りの質を下げてしまいます。

「もう限界かも」という心と体からのサインが、夢としてあらわれているのかもしれません。

2:不安やトラウマ体験

不安やトラウマ体験

心に抱えた不安や、過去のつらい出来事(トラウマ)が、嫌な夢として表れることがあります。

これは、日中に抑え込んでいた感情が、睡眠中に無意識から浮かび上がってくるためです。

たとえば、将来への不安や人間関係の悩みなどが続くと、眠りが浅くなり、夢を見やすい「レム睡眠」が増えます。

その結果、不安がそのままリアルな悪夢となって現れることもあります。

また、事故や災害、いじめなど強いショック体験は、夢の中で繰り返し再現され、「フラッシュバック」のようになる場合も。

心の傷や不安が、深い眠りを妨げているのかもしれません。

3:睡眠環境や生活習慣の乱れ

睡眠環境や生活習慣の乱れ

睡眠の質が下がると、浅い眠りが増えて夢を覚えやすくなり、「嫌な夢ばかり見る」と感じやすくなります。

日々の生活の中に、知らず知らずのうちに眠りを妨げる習慣が潜んでいるかもしれません。

たとえば、次のような習慣は睡眠の質を下げる要因です。

睡眠の質を下げる要因睡眠への影響
寝る直前のスマホやパソコンブルーライトが脳を刺激し、眠気を妨げる
不規則な生活リズム就寝・起床時間がバラバラだと体内時計が乱れ、眠りが浅くなる
快適でない寝室環境暑さ、寒さ、騒音、光などが無意識のストレスになる

こうした小さな習慣の乱れが積み重なることで、悪夢を見やすい状態が続いてしまいます。

4:薬・アルコール・カフェインなどの影響

薬・アルコール・カフェインなどの影響

日常的に摂っている飲み物や薬が、夢に影響を与えることがあります。

特にアルコールとカフェインは、睡眠の質を下げる代表的な要因です。

睡眠の質を下げる要因睡眠への影響
アルコール一時的に寝つきはよくなりますが、分解される途中で眠りが浅くなり、夜中に目覚めたり悪夢を見たりしやすくなる
カフェイン脳を刺激する作用があり、夕方以降に摂ると眠りにくくなったり、夢が浅くなりやすくなる
一部の薬高血圧の薬、甲状腺製剤、抗がん剤などで、鮮明な夢や悪夢の副作用が報告されていることがある

「お酒を飲んだ日だけ嫌な夢を見る」「薬を飲み始めてから夢見が変わった」と感じたら、これらが影響しているかもしれません。

薬について不安がある場合は、自己判断でやめずに、処方した医師や薬剤師に相談しましょう。

(参考:アルコールから考える不眠、うつ病そして自殺の予防|西大輔睡眠とカフェインとの関連性についての疫学研究レビュー|赤柴恒人

5:スピリチュアル的なメッセージ

スピリチュアル的なメッセージ

科学的な根拠とは別に、夢を「無意識からのメッセージ」と捉えるスピリチュアルな考え方もあります。

悪夢は、心の奥にある不安や課題に気づかせてくれるサインかもしれません。

心理学者ユングも「夢は深層心理の表れ」と考えていました。

たとえば、「誰かに追われる夢」はプレッシャーの象徴、「歯が抜ける夢」は不安や自信のなさを示していると解釈されることがあります。

怖がるだけでなく、「この夢は私に何を伝えようとしているのか?」と、少しだけ心に耳を傾けてみるのも一つの方法です。

ただし、スピリチュアルな解釈はあくまで参考程度にし、過度に心配せず、自分を見つめ直すヒントとして捉えるのが良いでしょう。

(参考:書評「ユング 夢分析論」|豊田園子

嫌な夢ばかり見るときに考えられる6つの病気

嫌な夢ばかり見るときに考えられる6つの病気

嫌な夢が何日も続いたり、眠ること自体がつらく感じられるようになってきたら、心や体の不調が関係している可能性があります。

悪夢は単なる「夢」ではなく、心や脳からのサインとして現れることもあるため、注意が必要です。

ここでは、悪夢を引き起こす可能性がある6つの代表的な病気をご紹介します。

1:悪夢障害

悪夢障害

悪夢障害は、繰り返しリアルで恐ろしい夢を見てしまい、睡眠の質が下がってしまう睡眠障害の一種です。

夢の内容は鮮明で、目覚めたあともはっきりと覚えており、「夢が怖くて眠れない」「朝起きた時から気分が沈んでいる」といった状態が続きます。

特に、他の病気やストレス要因が見当たらないにもかかわらず、悪夢だけが中心的な悩みとして繰り返されている場合は、この障害が疑われます。

2:心的外傷後ストレス障害(PTSD)

心的外傷後ストレス障害(PTSD)

心的外傷後ストレス障害(PTSD)は、交通事故、自然災害、暴力、いじめなど、強い恐怖や無力感を伴う出来事を経験したあとに心の傷が残り、慢性的な不調を引き起こす病気です。

この病気では、トラウマとなった出来事が夢の中で何度も繰り返されることがあり、悪夢が現実的で苦痛を伴います。

また、日中でもその記憶が突然よみがえる「フラッシュバック」や、些細な音や出来事にも過敏に反応する「過覚醒状態」が続くことがあります。

悪夢障害との違いは、原因となる出来事が明確に存在することです。

PTSDは早期の対応が重要な病気なので、つらい記憶が夢となって現れるような場合は、専門的な治療を受けることをおすすめします。

3:適応障害

適応障害

適応障害は、ある特定のストレスに心がうまく適応できず、情緒的・身体的な不調が現れる状態です。

気分の落ち込みや焦燥感、緊張、不安感などの症状とともに、眠れなくなったり、嫌な夢を見るようになったりすることがあります。

特に「眠りが浅くなる」「途中で何度も目が覚める」といった睡眠の乱れは、不安をそのまま夢として経験しやすい状態を作ります。

適応障害の大きな特徴は、「はっきりとしたストレス源があること」と「原因から離れることで改善する可能性が高いこと」です。

原因が思い当たる場合は、まず環境の調整や生活の見直しを検討し、必要に応じて心療内科やカウンセリングを利用してみてください。

適応障害の7つの症状についてわかりやすく解説!効果的な対処法は?

4:うつ病

うつ病

うつ病は、気分が長期間にわたってひどく落ち込み、興味や喜びを感じる力が低下してしまう心の病です。

「なかなか眠れない」「途中で何度も起きてしまう」「朝早く目が覚めてしまう」といった睡眠の乱れがよく見られます。

睡眠が断片的で浅くなることで、夢を見る機会が増え、内容もネガティブになりやすい傾向があります。

「2週間以上気分が沈んだまま」「何をしても楽しめない」といった状態が続いている場合、うつ病の可能性を考え、専門家に相談することが大切です。

うつ病の5つの症状についてわかりやすく解説!効果的な対処法は?

5:不安障害

不安障害

不安障害は、日常的な出来事に対して過剰な不安を抱き、それが生活に支障をきたす状態の総称です。

代表的なものに、パニック障害、全般性不安障害、社交不安障害などがあります。

これらの疾患では、常に心と体が緊張状態にあるため、自律神経のバランスが乱れやすく、夜になってもリラックスできません。

その結果、眠りが浅くなり、不安が夢に投影されることで、悪夢を頻繁に見るようになることがあります。

起こってもいないことに不安になるのはなぜ?その理由と6つの対処法を解説

6:レム睡眠行動障害

レム睡眠行動障害

レム睡眠行動障害は、夢を見ている最中に体が実際に動いてしまうという、特殊な睡眠障害です。

本来、夢を見るレム睡眠の間は、筋肉がゆるんで体が動かないようになっていますが、この病気ではその抑制がうまく働かず、夢に合わせて行動してしまいます。

たとえば、夢の中で誰かと争っている場面では、寝ている間に手足を振り回したり、叫んだりすることがあるのです。

多くは中高年の男性に見られ、同室の家族などが「寝ている間に暴れていた」と気づくケースもあります。

嫌な夢ばかり見るときに試したい5つの対処法

嫌な夢ばかり見るときに試したい5つの対処法

ここでは、自分でできる5つの対処法をご紹介します。

すぐに取り入れられることから、無理のない範囲で試してみましょう。

1:寝る前のリラックス習慣を作る

寝る前のリラックス習慣を作る

ストレスや不安は、夢の内容に強く影響します。

日中に抱えた緊張が、夜になっても抜けないままだと、悪夢を見やすくなってしまうのです。

そのため、眠る前には心と体を落ち着けるリラックスタイムを意識的につくることが大切です。

【おすすめの方法】

・ゆっくりと深呼吸をする
・軽いストレッチで体をほぐす
・アロマや間接照明を使って落ち着ける空間をつくる
・好きな音楽や読書で気持ちを整える

一方で、スマホやテレビの強い光や刺激は、脳を覚醒させてしまいます。

寝る前の1時間は、なるべく静かで安心できる時間を過ごすようにしてみましょう。

2:睡眠の質を高める環境づくりをする

睡眠の質を高める環境づくりをする

眠りが浅いと、夢を見やすくなるだけでなく、悪夢の記憶が鮮明に残ってしまう傾向があります。

快適な眠りを手に入れるには、眠る環境を見直すことも重要です。

以下の点をチェックしてみましょう。

【チェックしたいポイント】

・室温や湿度は快適に保たれているか
・寝具(布団・枕)は自分に合っているか
・外の音や光が睡眠を妨げていないか

また、寝る時間や起きる時間を毎日できるだけ一定にすることで、体内時計が整い、自然と深い眠りに入りやすくなります。

「寝る場所」「寝る時間」「寝る前の行動」を安定させることが、悪夢を防ぐことにつながります。

3:日中のストレスと上手に付き合う

日中のストレスと上手に付き合う

夢の中には、日中に感じたストレスや不安が反映されやすいといわれています。

そのため、悪夢を減らすには夜の対策だけでなく、日中の心の状態を整えることも大切です。

ストレスと上手に付き合うためには、次のような意識を持ってみましょう。

【ストレスとの向き合い方の例】

・小さな楽しみや自分へのごほうびを意識的に取り入れる
・気持ちをノートに書き出す、人に話してみる
・完璧を目指さず、「できたこと」を大切にする

大きなことを変えなくても、「少しずつラクになること」「安心できる時間を持つこと」が、夢の内容にも良い影響を与えてくれます。

4:夢の内容をポジティブに書き換える

夢の内容をポジティブに書き換える

繰り返し悪夢を見る場合、その夢の内容に対して「安心できる結末」を意識的にイメージする方法が効果的とされています。

これは、心理療法のひとつである「イメージリハーサル療法」にも通じるアプローチです。

たとえば、誰かに追いかけられる夢を見た場合、「助けが現れて安全な場所に逃げられた」といった展開を頭の中で思い描いてみます。

こうしたポジティブな再構成を行うことで、脳が安心感を記憶に取り入れ、次に同じような夢を見た際の受け取り方が変わる可能性があります。

5:二度寝を避ける

二度寝を避ける

二度寝は浅い眠りになりやすく、夢を見やすいレム睡眠が長く続くため、悪夢が記憶に残りやすくなる傾向があります。

スムーズに一日を始めるためには、起床後はできるだけ自然に体を目覚めさせることが大切です。

たとえば、次のような行動が効果的です。

・カーテンを開けて朝日を浴びる
・軽くストレッチをする
・白湯を飲んだり、顔を洗ったりするルーティンを持つ

こうした行動を習慣化することで、脳と体の目覚めが安定し、悪夢の頻度や印象も和らぎやすくなります。

日常生活に支障が出るときは専門家へ相談しよう

日常生活に支障が出るときは専門家へ相談しよう

嫌な夢が頻繁に続き、日常生活にまで影響を及ぼしている場合は、セルフケアだけで対処しきれないこともあります。

上記のような状態が1つでも当てはまる場合は、専門家に相談するタイミングかもしれません。

主な相談先には、心療内科や精神科、睡眠外来のある病院等が挙げられます。

眠りに関する問題は誰にでも起こりうることなので、困ったときは、ひとりで抱え込まずに頼ってみてください。

まとめ

まとめ
  • ・嫌な夢ばかり見る原因には、ストレス・不安・生活習慣・薬の影響・精神的な病気など多くの要因が関わる
  • ・睡眠の質やストレスケアを見直すことで、夢の内容が変わる可能性がある
  • ・夢の内容を書き換える・二度寝を避けるなど、自分でできる対処法も有効
  • ・悪夢が続く背景に、悪夢障害・うつ病・PTSDなどの疾患が隠れていることもある
  • ・日常生活に支障が出る場合は、心療内科や睡眠外来など専門家に相談することが大切

嫌な夢は、心や体が出しているサインのひとつかもしれません。

ストレスや生活の乱れ、不安感などが積み重なることで、夢の内容が不快なものになりやすくなります。

まずは睡眠環境や生活習慣を整える、自分に合ったリラックス法を取り入れるといったセルフケアから始めてみましょう。

それでも改善が見られない場合や、眠ること自体がつらくなってきたときには、無理をせず専門機関に相談することが大切です。

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