第152回

人の話を聞かない人

人の話を聞かない人の特徴や発達障害の可能性・対処法について解説

人の話を聞かない人は、単なる性格や意欲の問題と受け取られがちです。

しかし実際には、注意の向け方や情報処理の特性が影響している場合もあり、発達障害が背景にある可能性も否定できません。

本記事では、人の話を聞かない人に見られやすい特徴を整理し、発達障害との関連性、日常生活でできる具体的な対処法についてわかりやすく解説します。

人の話を聞かない人の特徴や原因

特徴や原因

人の話を聞かないように見える人には、性格だけでなく注意力や情報の受け取り方に関わる背景があります。

原因を知ることで、誤解やすれ違いを防ぐことができます。ここでは、その特徴や原因について見ていきましょう。

ADHDやASDといった発達障害の可能性

ADHDやASDといった発達障害の可能性

人の話を聞かない人の背景には、ADHD (注意欠陥・多動性障害)ASD(自閉スペクトラム症) といった発達障害の特性が関係している場合があります。

ADHDでは注意を保ち続けることや情報を同時に処理することが苦手で、話の途中で内容が抜けやすくなります。

一方、ASDでは言葉をそのまま受け取りやすく、あいまいな表現や話の意図を読み取ることが難しい場合も。これらは怠慢や無関心ではなく、脳の働き方の違いによるものです。

特性を理解することで、不要な誤解や衝突を減らすことにつながります。

認知症などの脳機能の低下

認知症などの脳機能の低下

高齢の方や脳の障害を抱える人が人の話を聞かないように見える場合、その背景には、認知症などによる脳機能の低下が関係していることがあります。

加齢や病気によって記憶力や注意力が低下すると、話の途中で内容を忘れたり、複数の情報を同時に処理できなくなったりします。これにより、話を理解できず、聞いていないように見えることがあります。

また、言葉の意味を正しく捉える力が弱まることで、会話についていけなくなることもあるのです。

これは本人の意欲や態度の問題ではなく、脳の働きの変化によるものであり、早めに気づいて適切な対応や支援につなげることが大切です。

うつ病や統合失調症などの精神疾患

うつ病や統合失調症などの精神疾患

人の話を聞かないように見える原因として、うつ病統合失調症などの精神疾患が関係している場合があります。

うつ病では、集中力や思考力が低下し、相手の話に意識を向け続けることが難しくなります。また、気力の低下により、話を理解しようとする余裕が持てなくなることもあるのです。

一方、統合失調症では、思考がまとまりにくくなったり、周囲の刺激に過敏になったりすることで、会話の内容が頭に入りにくくなることがあります。

これらは性格や態度の問題ではなく、心や脳の不調によるものです。周囲が理解するとともに、専門的な支援につなげることが重要です。

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そもそも人の話に興味がない

そもそも人の話に興味がない

人の話を聞かないように見える原因の一つに、そもそも他人の話に強い興味を持ちにくいというケースがあります。

人は誰しも自分の関心や考えが優先されやすく、会話の内容が自分に直接関係しないと感じると注意が向かなくなってしまうのです。

また、自己完結型の思考が強い人は、相手の話を「聞かなくても分かる」「重要ではない」と無意識に判断してしまうこともあります。この場合、悪意があるわけではなく、関心の向きや価値観の違いによって起こっていることが多く、相手からは無関心や失礼な態度と誤解されやすい点に注意が必要です。

コミュニケーションスキルが未熟

コミュニケーションスキルが未熟

人の話を聞かないように見える背景には、コミュニケーションスキルが十分に身についていないことが関係している場合があります。

相手の話を最後まで聞く、要点をつかむ、適切に相づちを打つといった力は、生まれつきではなく経験の中で学ばれていくものです。そのため、会話の経験が少なかったり人とのやり取りが苦手だったりすると、聞き方が分からず、結果として話を遮ったり自分の話ばかりしてしまうことがあります。

これは性格の問題というより、学習や経験の不足によるものですので、意識的に練習することで改善が期待できます。

ADHD(注意欠陥・多動性障害)の人が人の話を聞かない理由

ADHD

人の話を聞かない理由のうち、ここではADHDの人の特性について深くみていきましょう。

注意を向け続けることがむずかしい

注意を向け続けることがむずかしい

ADHDのある人が人の話を聞き続けることが難しい大きな理由の一つに、「注意を向け続けること」が苦手という特性があります。

ADHDでは、意識を特定の対象に集中させ、それを一定時間保つ働きが弱くなりやすいとされています。そのため、話を聞き始めた直後は集中できていても、途中で周囲の音や人の動き、頭に浮かんだ別の考えに注意がそれてしまうことがあります。

本人は真剣に聞こうとしていても、無意識のうちに意識が切り替わってしまい、話の一部が抜け落ちてしまうのです。これは怠慢や無関心ではなく、脳の注意機能の特性によるものであり、本人の努力だけで完全にコントロールすることは難しい場合があります。

頭の中がいつも忙しい状態

頭の中がいつも忙しい状態

ADHDの人は考えや連想、感情が同時にいくつも浮かびやすく、脳が休まる時間が少ない傾向にあります。

相手の話を聞いている最中でも、「次に何を言おうか」「別の良いアイデアはないか」「関係のある出来事は?」などが次々と頭に浮かび、注意が内側に引き込まれてしまうことがあります。すると話を途中まで聞いていても、気づかないうちに意識が別の思考に移り、内容が抜け落ちてしまいます

本人は人の話を聞いていないつもりはありません。むしろ情報を処理しようと必死な状態であることも多いです。これは集中力の欠如ではなく、思考が過剰に活発になるADHD特有の脳の働きによるものです。

聞いた内容を覚えておくのが難しい

聞いた内容を覚えておくのが難しい

ADHDの人は、聞いた情報を一時的に頭の中にとどめておく力(ワーキングメモリ)が弱い傾向があり、会話の途中で内容が抜け落ちやすくなります。

たとえば、話の前半を理解しているうちに後半の説明が続くと、最初の話の内容が保持できず、全体の流れが分からなくなってしまうことがあるのです。

その結果、「さっき説明したのに聞いていなかった」と誤解されることもありますが、実際には聞いていても記憶として残りにくい状態なのです。

これは努力不足や注意散漫さだけが原因ではなく、情報を一時保存する脳の働き方の特性によるものであり、本人の意思だけで改善するのは難しいといえます。

興味がない話は頭に入りにくい

興味がない話は頭に入りにくい

ADHDの人の脳は、関心のあることには強い集中力を発揮しますが、興味を感じにくい話題には注意を向け続けることが難しくなります。

仕事や日常生活で重要な内容であっても、「面白い」「気になる」と感じられない場合、音としては聞こえていても意味として処理されにくくなります。

これはやる気の問題ではなく、注意を向けるスイッチが入りにくいというADHDの脳の特性によるものです。そのため本人は聞こうとしていても、結果的に内容が残らず、「話を聞いていない」と誤解されてしまうことがよくあります。

つい話に割り込んでしまうことがある

つい話に割り込んでしまうことがある

ADHDのある人が人の話を聞いていないように見える理由の一つに、つい話に割り込んでしまうことがあるという特性があります。

ADHDは衝動性が強く、思いついたことや感じた反応を抑える前に口に出してしまいやすい傾向があります。

相手の話を最後まで聞こうとしていても、「今言わないと忘れてしまう」「今が大事だ」と感じ、無意識のうちに話し始めてしまうのです。

これは相手の話を遮ろうとしているわけではなく、反応が先に出やすい脳の働きによるものです。そのため、本人の意図とは関係なく、「話を聞いていない」「自分の話ばかりする」と誤解されやすくなります。

ASD(自閉スペクトラム症)の人が人の話を聞かない理由

ASD

人の話を聞かない人のうち、ここでは、ASDの特性について深く見ていきましょう。

言葉をそのまま受け取る傾向がある

言葉をそのまま受け取る傾向がある

ASDの人は、言葉をそのまま受け取る傾向があり、会話の中に含まれる比喩表現や遠回しな言い方、皮肉や冗談の意図を読み取ることが苦手な場合があります。

そのため、話の言葉自体は聞いていても、「本当は何を伝えたいのか」「どう行動すればいいのか」が分からず、理解できていないように見えてしまうことがあるのです。

これは注意不足ではありません。言葉を文脈や空気ではなく文字どおり・事実として処理する特性によるものです。結果として、周囲からは話を聞いていないと誤解されやすくなります。

話の背景や空気を読み取るのがむずかしい

話の背景や空気を読み取るのがむずかしい

ASDのある人が人の話を聞いていないように見える理由の一つに、話の背景や空気を読み取るのがむずかしいという特性があります。

ASDの人は、会話の中に含まれる暗黙の意図や前提、相手の感情の変化を自然にくみ取ることが苦手です。

そのため、話の内容そのものは耳に入っていても、「なぜこの話をしているのか」「相手が何を求めているのか」が分からず、会話についていけなくなることも。

結果として反応がずれたり沈黙したりし、「話を聞いていない」と受け取られてしまうことがあります。

音や情報が多いと混乱しやすい

音や情報が多いと混乱しやすい

ASDの人は、周囲の音や視覚的な刺激に敏感なため、相手の声以外の物音や人の動き、光なども同時に強く意識してしまいます。

するとどの情報に注意を向ければよいのか分からなくなり、話の内容を処理しきれなくなることがあります。

本人は聞こうとしていても、脳が情報でいっぱいになり、会話を理解する余裕がなくなってしまうのです。これは集中力の問題ではなく、感覚や情報処理の特性によるものであり、周囲からは「話を聞いていない」と誤解されやすい原因の一つです。

話の切り替わりについていきにくい

話の切り替わりについていきにくい

ASDの人は、一つの話題を理解し、頭の中で整理するのに時間がかかることがあり、その途中で別の話題に移ると処理が追いつかなくなることがあります。

前の内容を整理しているうちに次の話が進み、結果として全体の流れが分からなくなってしまうのです。そのため、急に反応が遅れたり、会話が止まったように見えたりして、「話を聞いていない」と受け取られることがあります。

自分の関心に意識が向きやすい

自分の関心に意識が向きやすい

ASDの人は、興味や関心の対象がはっきりしており、関心のあることには深く集中する一方で、それ以外の話題には注意を向け続けることが難しいです。

会話中でも、自分の興味と直接結びつかない内容になると意識が内側の思考や別の関心事に向かってしまい、人の話が頭に入りにくくなります。これは相手への無関心や軽視ではなく、注意の向き方に偏りが生じやすいASD特有の情報処理の特性によるものです。

人の話を聞かない悩みの対処法について解説

悩みの対処法

人の話を聞けない悩みは、性格だけが原因とは限りません。背景を理解し、本人と周囲ができる工夫を知ることで、改善につなげられます。ここでは、本人ができる改善方法と、周囲の人ができる対処法について見ていきましょう。

本人ができる改善方法

本人ができる改善方法

この記事を読まれているご本人が人の話を聞かないことで悩んでいる場合、まず大切なのは「無理に直そう」と自分を責めすぎないことです。そのうえで、以下のような聞きやすくする工夫を取り入れることで、少しずつ改善を目指すことができます。

・全部を完璧に聞こうとしない
話の最初から最後まで完璧に理解しようとすると、かえって集中が切れやすくなります。「ここが大事そう」というポイントを意識するだけでも、負担は軽くなります。

・メモやキーワードを書きながら聞く
単語や数字、要点だけをメモすると、注意が話に戻りやすくなります。文章にする必要はなく、走り書きで十分です。

・分からなくなったら聞き返す
途中で内容が分からなくなった場合は、「今のところをもう一度教えてください」と確認しても問題ありません。聞き返すことは、理解しようとしている行動です。

・聞く環境を整える
周囲の音や視覚的な刺激が多いと、人の話に集中しにくくなります。可能であれば静かな場所を選び、スマホや不要な物を遠ざけるなど環境を整えましょう。

・体の向きや相づちを意識する
相手のほうに体を向ける、軽くうなずくなど、体を使うことで人の話を聞こうとする注意が保たれやすくなります。

・話のあとに自分なりに整理する
「つまり〇〇ということですね」と頭の中でまとめるだけでも、理解が深まります。

人の話を聞く力は、気合いや根性だけで身につくものではありません。自分に合った工夫を少しずつ試し、続けやすい方法を見つけることが無理のない改善につながります。

周囲の人ができる対処法

周囲の人ができる対処法

人の話を聞いていないように見える人に対しては、叱ったり責めたりするよりも、その都度伝え方や関わり方を工夫することが効果的です。周囲の対応が変わるだけで、相手の理解度や反応が大きく変わることもあります。

・一度に伝える情報を減らす
長い説明や複数の指示をまとめて伝えると、相手は混乱しやすくなります。要点をしぼり、一つずつ伝えることを意識しましょう。

・具体的な言葉で伝える
「ちゃんと」「適当に」といった曖昧な表現は避け、「何を・いつまでに・どうするか」をはっきり伝えることで相手が理解しやすくなります。

・話す前に注意を向けてもらう
いきなり話し始めるのではなく、相手の名前を呼ぶ、ひと言声をかけるなどして、聞く準備ができてから話すことが大切です。

・視覚的な補助を使う
口頭だけでなく、メモや箇条書き、メッセージなどを併用すると、相手は内容が整理されやすくなります。

・話題の切り替えをゆっくり行う
話を変えるときは「次は〇〇の話をするね」と区切りを示すと、相手が話についていきやすくなります。

・できている部分を認める
聞けていない点ばかり指摘せず、理解できていた点や行動できた部分にも目を向けることが大切です。

人の話を聞きにくい人への対応は、注意や叱責よりも配慮と工夫が重要です。周囲が理解を深め、伝え方を少し変えることで、コミュニケーションのストレスを減らし、より良い関係を築くことにつながります。

人の話を聞かない行動で悩む場合は専門機関に相談しよう

専門機関に相談しよう

人の話を聞かない行動が長く続き、仕事や人間関係、日常生活に支障が出ている場合は専門機関への相談を検討してみましょう。

注意力や理解力の低下、気分の落ち込み、不安の強さなどが背景にあることもあり、本人の努力だけで改善するのが難しいケースも少なくありません。

心療内科や精神科、発達障害の相談窓口などでは、現在の状態を丁寧に整理し、必要に応じて検査や支援の提案を受けることができます。

早めに相談することで、適切な対処法や環境調整につながり、本人も周囲も無理をせずに向き合えるようになるでしょう。

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まとめ

・人の話を聞かない人は、精神的な要因や発達障害、脳の特性などによる場合がある
・特にADHDやASDといった発達障害がある方は、人の話に集中することが難しい
・適切な対処法によって、人の話を聞けるようになる
・日常生活に支障が出ている場合は、なるべく早く専門機関に相談しよう

人の話を聞かない悩みの背景には、性格だけでなくADHDやASDといった発達特性、脳機能の低下、精神的な不調、コミュニケーション経験の違いなど、さまざまな原因があります。

大切なのは「わざとではない可能性」に目を向けることです。

本人ができる工夫や周囲の配慮によって、聞きやすさは改善できます。困りごとが続く場合は、専門機関に相談してみましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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