「適応障害の治し方・治療法にはどのようなものがあるのだろう?」「適応障害は完治するまでにどのくらい時間がかかるのだろう?」と不安に感じている方に向けて、この記事では適応障害の主な治療法を解説します。
適応障害を経験した私の完治までの過程も詳しくまとめましたので、適応障害と診断を受けて今後が不安な方はぜひ最後までご覧ください。
適応障害の4つの治し方・治療法を解説!
- 1.十分な休養を取る
- 2.ストレスの原因を取り除く
- 3.認知行動療法
- 4.薬物治療
適応障害の主な治し方・治療法は上記の4つです。
なお、症状の強さや時期によってどの治療を行うかは異なります。
参照:適応障害|九州大学
参照:適応障害の診断と治療|平島 奈津子
1.十分な休養を取る
まずは、十分な休養を取りましょう。
ストレス状態が続いているときは、頭も心も体もひどく疲弊しています。
治すためにはゆっくり休むことが何よりも重要です。
適応障害を診断を受けたあとはとにかく眠ったり横になったりして、心と体を休めましょう。
考えごともせず、頭を休めることも大切なことです。
心身の健康が戻ってから生活習慣を整えればよいので、まずはとにかく休むことを優先してください。
2.ストレスの原因を取り除く
適応障害の治療には、ストレス因子から離れることが欠かせません。
適応障害と診断される基準の1つに「ストレス因子がひとたび終結すると,症状がその後さらに6か月以上持続しない」とあります。
ストレスから一定の距離を保つと、症状が回復するのが適応障害なのです。
たとえば、職場の人間関係が原因なら「休職して物理的に距離を取る」「部署異動を上司に相談する」などを検討しましょう。
ただ、何が原因で適応障害の状態になったのかがわからなければ、なかなか体調はよくなりません。
ゆっくり休息を取る中で、原因となったストレス因子を見つけ出すことが早い回復につながるといえるでしょう。
3.認知行動療法
認知行動療法とは、ある出来事に対する自分の考え方を整える治療法です。
人はある出来事に対峙したとき、認知によって感情が生まれます。
たとえば、仕事でミスをしてしまって上司に注意されたとしましょう。
このとき「注意される自分はダメだ」と思えば落ち込みますが、「注意してもらえるのは、これからの行動に期待されているからだ」と思えば頑張る活力になります。
このように認知行動療法は、物事の捉え方や感じ方をカウンセリングなどで振り返り、心のストレスを軽減させていくのです。
認知行動療法によって本人の適応力を高めることで、同じストレスに遭遇した場合でも適応障害を回避できる状態を目指します。
4.薬物治療
種類 | 薬剤一般名 | 効果・効能 | 副作用 |
---|---|---|---|
抗不安薬 | エチゾラム | 脳が興奮している状態を鎮め、不安や緊張を和らげる | 依存性・呼吸抑制・肝機能障害など |
抗不安薬 | アルプラゾラム | 脳が興奮している状態を鎮め、不安や緊張を和らげる | 依存性・離脱症状・刺激興奮・錯乱など |
SSRI | レクサプロ | 脳内の神経伝達物質セロトニンの働きを改善。意欲を高めたり、憂鬱な気分などを改善する | 倦怠感・傾眠・吐き気・頭痛など |
三環系抗うつ薬 | アミトリプチリン | 脳内の神経伝達を改善し、抑うつ気分を和らげる。夜尿症の改善、痛みの和らげ。 | 高熱・吐き気・息苦しさ・けいれんなど |
睡眠導入剤 | マイスリー | 脳の興奮状態を鎮め、寝つきをよくする働き | 依存性・離脱症状・興奮など |
睡眠導入剤 | レンドルミン | 脳の興奮状態を鎮め、寝つきをよくする働き | 肝機能障害・黄疸・依存性など |
ストレス因子や認知行動療法などで環境調整をしつつ、現在つらいと感じている症状を和らげるために行うのが薬物治療です。
適応障害の状態になると、睡眠障害や抑うつ症状、食欲の減退などが起こります。
症状が強いとゆっくり休むことが難しく、回復にも時間がかかってしまいます。
そのため、睡眠薬や抗うつ薬などの薬を処方し、症状を緩和することを目指すのです。
治療を進めていくうちに症状がよくなった場合は、少しずつ薬の量を減らしていきます。
適応障害が回復するまでの流れと過ごし方を解説!
適応障害が回復するまでは、上記3つの流れをたどります。
各期間の特徴や過ごし方のポイントを解説します。
休養期
休養期は、適応障害であると診断され、治療を始める時期です。
この時期はうつ症状が強く、ストレスにも敏感なので、とにかく休むことが重要。
生活リズムが崩れることは気にせず、寝られるときにしっかり睡眠を取りましょう。
起きているときも何かをする必要はなく、ぼーっとしていてOKです。
「休むのは甘えだ」と無理をしたり、仕事のことを考えたりするのは逆効果。
休養期は何よりも頭や心、体を休めることに重点を置いて過ごしてください。
リハビリ期
リハビリ期は、休養期を過ぎて抑うつ症状が回復してきた時期です。
この時期は心の元気が戻ってきて、少しずつ活動の意欲が出てきます。
ただ休養期で体力が落ちているため、徐々に活動を増やしていくことが必要です。
まずは、散歩やストレッチなどの軽い運動から始めましょう。
抑うつ症状が改善したからといって、職場に復帰したり急に活動量を増やしたりするのはよくありません。
リハビリ期はまだ完全に回復した状態ではなく、疲れやすさやストレスへの過敏さは残っています。
段階的に体を動かしたり頭を動かしたりしていくことを心がけてください。
調整期
調整期は、リハビリ期を過ぎて適応障害を発症する前とほとんど同じ状態になった時期。
この時期になると社会復帰を考え始めるため、規則正しい生活を送ることが重要です。
睡眠時間や栄養バランスの取れた食事、適度な運動などでリズムを整えましょう。
休職している場合は、職場と復職や退職について相談するタイミングでもあります。
まずは、休職前と同じ時刻、同じ方法で通勤しても体調に支障が出ないか、復職することを考えても精神状態が悪化しないかを確認しましょう。
問題がなければ、職場の担当者と具体的な復帰方法を相談します。
心の準備ができていない状態や復帰後も環境が変わらない場合は、適応障害が再燃してしまう可能性があるため、慎重な検討が必要です。
ここで復職することを考えると症状が悪化してしまうときは、退職や転職などを視野に入れることも考えましょう。
私が2017年に適応障害と診断されてから完治するまでの過程についてお話します…!
私は2017年に職場に行けなくなってしまい、心療内科を受診したところ適応障害と診断されました。
休職や復職を経て、完治するまでには約3年かかりました。
ここでは、私が完治までにどのような過程をたどったのかをお話します。
1. 適応障害と診断されたとき
私はある日突然、職場に向かう電車の中で涙が止まらなくなり、最寄り駅で降りれませんでした。
その日は帰宅して仕事を休み、数日経っても回復しなかったため、心療内科を受診しました。
結果、抑うつ状態が強く、私が職場で置かれている状況から「適応障害」と診断を受けます。
職場にも連絡をして、1ヶ月間休職することとなりました。
当時は話すこともやっとで、食事も取れないし寝られないしでひどい体調でした。
精神安定剤をいくつか処方されたので、服薬しながらひたすら寝て過ごしていたことを覚えています。
通院の頻度は2週間に1回でした。
2.診断を受けてから1ヶ月後
1ヶ月間とにかく家で休んでいたら、少しずつ元気が出てきました。
ただ、職場への抵抗感は強く、とても復職できる状態ではなかったため、休職をさらに1ヶ月延長することに。
食欲は少しずつ出てきて、睡眠も当初よりは取れるようになりました。
通院の頻度は2~3週間に1回。
精神安定剤は変わらず服用していて、カウンセリングも数回受けました。
3.診断を受けてから2ヶ月後
適応障害と診断を受けてから2ヶ月後は、体調が少しずつ安定した頃です。
ただ、体力や気力がまだ回復しきっていなかったため、休職を1ヶ月延長しました。
通院の頻度は1ヶ月に1回ほどまで減っています。
この時期には、朝に散歩したり、昼間にベランダで本を読んだりと活動量を増やしました。
休職できる期間が残り1ヶ月を切っていたため、復職に向けて少しずつ準備。
リハビリとして朝に電車に乗って職場近くまで行ってみて、自分の状態を確かめました。
4.診断を受けてから3ヶ月後
診断を受けてから3ヶ月が経ち、休職できる期間に限界がきたため復職しました。
本当はもう少し休むべきでしたが、復職せざるを得ない状態だったため、やむなく決断した形です。
結果、休職する前と同じような状態になってしまいましたが、気力で持ちこたえる毎日が続きました。
職場でも最大限フォローしてもらい、定時になったらすぐ帰るようにしてなんとか頑張っていました。
5.診断を受けてから6ヶ月後
復職してから3ヶ月が経つ頃には体調が悪化してしまい、抗うつ薬を飲むようになりました。
飲み始めは副作用で足がつったり吐き気がしたりしましたが、少し経つと安定してきて状態が落ち着きました。
通院の頻度は変わらず1ヶ月に1回で、飲む薬が増えたことにショックを受けたことを覚えています。
6.診断を受けてから1年後
抗うつ薬を飲み始めて半年くらい経った頃には、職場の環境も少し変わったこともあって体調が安定しました。
通院の頻度も2ヶ月に1回になり、だいぶ日常を取り戻してきた感じがありました。
職場に相談できる人が増えて、1人で抱え込むことが減ったのも大きく関係していると思います。
7.診断を受けてから3年後
適応障害の診断を受けてから3年が経ち、症状がよくなっていくにつれて減薬しました。
一気に減らすと離脱症状が起こってしまうとのことで、半年に0.5錠ずつ減らしていき、やっとこの頃に服薬治療を終了。
心療内科に行っても医師と話すことがないくらい、日常での困っていることもなくなったため、通院を終了することとなりました。
私は適応障害の原因となった職場で働き続けていたため、3年もの時間がかかりました。
もう少し休職を延ばせる状態だったり、退職や転職を検討できたりする状況だったら、完治までの期間が短縮できたかもしれません。
まとめ
- ・適応障害の治し方・治療法は主に4つ!
- ・環境調整を中心に、人によっては症状を抑える薬物治療も行う
- ・適応障害が回復するまでの期間は3つに分かれる
- ・私は適応障害が完治するまで3年かかりました!
この記事では、適応障害の治し方・治療法について解説しました。
症状の重さや段階によって適した治療は異なるため、状況に合わせて医師と相談して進めていくことが重要です。
適応障害は特定のストレスによって引き起こされるため、原因となる事象から距離を置く事が重要です。
私は十分に回復できない状況でストレスの原因となった職場に復職してしまったことで、完治までに長く時間がかかってしまいました。
今適応障害の状態でつらい思いをしている方は、決して無理をせず、自分の健康を1番に考えて治療を進めてください。