「もしかしたら自分は適応障害なのかもしれない」と不安に感じてはいませんか。
適応障害の症状が見られる場合は、そのまま我慢しているとうつ病に発展してしまう可能性があるため、早期に治療することが重要です。
この記事では、適応障害の7つの症状と対処法について、精神科の医師監修のもと解説しています。
少しでも自分に当てはまるかもしれないと思ったら、早めに精神科・心療内科を受診しましょう。
まずは適応障害について簡単に解説!
適応障害は、簡単に言うとストレスが原因のうつ病です。
日常生活を送る中で起こった出来事や環境にうまく適応できず、心身に様々な症状が現れます。
そして、普段通りの社会生活が送れなくなり、支障をきたす状態になっていると適応障害と診断を受けます。
適応障害は特定のストレスが原因となるため、それを取り除くことで回復していく場合が多いです。
適応障害は、日常生活の中で受けるストレスが原因となって起こります。
例えば、入学や就職、転勤など周りの環境ががらっと変わるタイミングは、その状況に適応しようとして大きなストレスを感じやすい時期です。
また、結婚や出産など一見うれしい出来事もストレスの1つなので、心が追いつかずに心身の不調となって症状が現れることもあります。
ただ、人によって耐えられるストレスの大きさは異なるため、同じ状況になったときに誰しもが適応障害になるというわけではありません。
参照:ストレスで鬱になってしまった。「適応障害」って知っていますか?【精神科医が一般の方向けに病気や治療を解説するCh】
適応障害の7つの症状について解説!
ここでは、適応障害の症状を7つ解説します。
当てはまるものがある場合は、心が助けを求めている合図かもしれないので精神科・心療内科の受診を検討しましょう。
なお、こちらの記事では、精神科・心療内科に行く基準について解説していますので、あわせてご確認ください。
参照:適応障害|九州大学
参照:うつ病、適応障害の初期症状を解説します #うつ状態 #うつ #適応障害
1:抑うつ症状
適応障害の代表的な症状に、気分が落ち込むことがあります。
特に何があったわけでもないのに暗い気持ちが続いている、ふとしたときに涙が出てくるといった症状がある場合は、抑うつ状態であると診断されます。
なんとなく気分が晴れず、どんよりとした気分が長く続いている場合は注意が必要です。
2:興味がなくなる
周りのことに興味がなくなり、今まで楽しめていたことも楽しめなくなることもあります。
例えば、好きなテレビ番組を見ても面白いと感じない、ファッションが好きだったのに自分が着る服がどうでもよくなるなどです。
わたしも好きなアイドルが出ている番組を見ても、何の感情も湧かない時期がありました。
それまで興味があったものに関心がもてなくなっているときは、心が疲れている合図です。
3:疲労感
ひどい疲労感に襲われてしまうのも、適応障害の症状の1つです。
自分では気づかないうちに心身ともに疲労が蓄積し、ある日突然身動きが取れなくなります。
体が重くて朝起き上がれない、少し歩いただけでも息切れをしてしまうなども疲労感の一種です。
わたしは適応障害と診断を受けたとき、最寄り駅から徒歩10分の距離を30分かけて歩いていました。足が重くてなかなか前に進めなかったからです。
食事を摂るときも息切れをしてしまっていたので、かなり疲労が溜まっていたのでしょう。
4:体調不良
体の不調となって症状が現れる場合もあります。
わたしが適応障害の状態にあったときは、職場が近づけば近づくほど吐き気や腹痛に襲われました。
また、父親が原因だったという方はひどい頭痛に悩んでいたといいます。
体調が悪くて受診しても明確な診断が下りない場合は、精神的なストレスによる体調不良であることも考えましょう。
参照:適応障害と私|こころの耳
5:集中力の低下
適応障害の症状には、集中力が低下して小さなミスが増えることもあります。
頭がうまく回らなくなり、思考停止状態になってしまうのです。
そうなるとさらに焦ってしまい、ミスを重ねてしまって自己嫌悪に陥ります。
いつもはしないようなミスが増えてきているときは、自分の状態を振り返ることが必要です。
6:食事が取れない・食べすぎる
食事を十分に取れなくなってしまうのも、適応障害の症状です。
食欲がわかずに食べられない場合もありますが、食事を取ること自体が面倒に感じてしまうことも。
反対に、食べすぎてしまう人もいます。
いつもより食べられない、いつもより食べてしまう状態が続いているときは、適応障害の状態にあるかもしれません。
7:睡眠障害
適応障害になると、睡眠にも支障が出てきます。
寝てから途中で何度も起きてしまう「中途覚醒」や寝付きが悪くなる状態が代表的です。
わたしも適応障害と診断されたとき、1~2時間おきに目が覚めてしまったり夜中3時に起きてから寝られなくなったりと睡眠障害の症状がありました。
適応障害の症状別の5つの対処法について解説!
適応障害の症状は、どれも特定のストレスが原因で起こっているため、適切に対処することで改善が期待できます。
5つの対処法を解説しますので、担当医と相談し自分に合う方法で治療していきましょう。
参照:適応障害とは?症状や治療法を解説 原因は強いストレス|NHK
1:十分な休養を取る
まずは、ゆっくり休むことが何よりも重要です。
大きなストレスに耐えていた心と体をしっかりと休めましょう。
職場の人に迷惑がかかると心配になる気持ちも分かりますが、休養を取らないと状態はよくなりません。
安心できる環境で睡眠をしっかり取り、これまで頑張った自分をいたわりましょう。
2:ストレス因子の除去
適応障害の症状は特定のストレスによって引き起こされるため、原因となるものを取り除く必要があります。
例えば、職場が原因なら部署異動や転職を検討する、恋人関係が原因なら距離を置くなどです。
わたしは職場が原因で適応障害になったので、休職して3ヶ月ほど距離を置いた結果、不眠や自律神経の乱れなどの症状が改善されました。
適応障害は原因が分かれば回復が見込めるものなので、まずは自分にとって何がストレスだったのかを明確にし、それを取り除くことが大切です。
3:認知行動療法
ストレス因子の除去にかかわって、ある出来事に対する自分の考え方を改めて整えていく「認知行動療法」を行うこともあります。
適応障害は特定のストレスによって引き起こるものですが、そのストレスの感じ方は人それぞれです。
例えば転勤がきっかけで適応障害になってしまった人は、「早く新たな職場になれなければ」と焦ってしまった結果、心身ともに負荷がかかったと考えられます。
この場合、もし「自分のペースでゆっくり慣れていこう」と考えられていたら、もしかしたらストレスの感じ方が変わっていたかもしれません。
上記の例のように、物事の捉え方や感じ方をカウンセリングなどで振り返りながら改善していくのが認知行動療法です。
4:問題解決療法
環境調整がうまくいかない場合は、「問題解決療法」を行うこともあります。
問題解決療法とは、現在抱えている問題と症状について、カウンセラーなどの支援者と治療を受ける人が一緒に解決策を見出していくものです。
どのように対処していけば良いのかを事前に考えておくことで、同じような状況に直面しても適応できる状態を目指します。
5:薬物療法
環境調整やカウンセリングなどと並行して、現在つらいと感じている症状を緩和するために薬を飲んで治療を行うのが「薬物療法」です。
適応障害のときは、不眠や抑うつ、食欲の低下など様々な症状が現れます。
睡眠が取れなかったり落ち込みが長く続いてしまうと、休みたくてもゆっくり休めません。
そのため、睡眠薬で睡眠を取りやすくしたり、抗うつ薬で気持ちを安定させたりする場合があります。
つらい症状をやわらげながら治療を進めていき、症状がよくなるにつれて少しずつ量を減らしていきます。
まとめ
- ・適応障害は日常生活の中で起こった出来事や環境の変化によって起こるもの
- ・症状は抑うつ状態や睡眠障害、疲労感など人によって異なる
- ・適応障害は原因を取り除くと症状がよくなることが多い
- ・つらい症状は薬の力を借りることもある
- ・我慢しているとうつ病に発展するので、早めの受診がおすすめ
適応障害の症状は、抑うつ状態や体調不良、睡眠障害などです。
特定のストレスによって引き起こされる適応障害は、多くの場合原因となる因子から距離を置くことで症状が改善されます。
とはいっても、すぐにはよくならないので、症状がつらいときは薬の力を借りることもあります。
日常生活の中で起こった出来事や環境の変化をきっかけに体調がよくない場合は、適応障害の状態かもしれません。
普段通りの生活を送るためにも、早めの受診をおすすめします。