うつ病の症状
うつ病の基本的な症状は、強い抑うつ気分、興味や喜びの喪失、食欲の障害、睡眠の障害、精神運動の障害(制止または焦燥)、疲れやすさ、気力の減退、強い罪責感、思考力や集中力の低下、死への思いであり、他に身体の不定愁訴を訴える人も多く、被害妄想などの精神病症状が認められることもあります。
うつ病の原因
うつ病は遺伝的要因と環境要因が関与する他因子疾患です。
うつ病の遺伝的要因としては遺伝子型、人格、家族歴などがあるとされています。
遺伝的要因として親子や兄弟など二親等以内にうつ病の方がいる場合には、うつ病の発生は2〜3倍上昇すると言われています。
また、環境要因としては周囲の人間関係や家族関係の不和、虐待、リストラなどの強いストレスがかかる状態はうつ病を引き起こす可能性があります。
うつ病の影響
うつ病にかかると著しい精神的な苦痛を体験します。またその程度にかかわらず社会的な機能が低下し、日常生活に支障が生じます。自殺の危険性も高まります。
虚血性心疾患、糖尿病、骨粗鬆症などの一般身体疾患にかかる危険性も高まることもわかっています。
うつ病の危険因子
うつ病は女性に多くみられますが、これは女性ホルモンの増加、妊娠、出産など女性に特有の危険因子や男女の社会的役割の格差などが男女差の原因として指摘されています。
うつ病の平均初発年齢は20-30歳の間で、一般には若年層に高頻度にみられます。
そのほか、海外では、養育体験、最近のライフイベント(離婚、死別、その他の喪失体験)、トラウマになるような出来事(虐待、暴力など)、社会的支援、性格傾向(神経症傾向など)がうつ病の危険因子として報告されており、急速な都市化が影響するという可能性も指摘されています。
うつ病 の治療
うつ病の治療は、薬物療法などの生物学的治療、精神療法、環境調整の3本柱で行います。
1. 生物学的治療
生物学的治療には薬物療法と電気けいれん療法があります。電気けいれん療法は最近では麻酔下で無けいれんで行う手法が使われることが多く、症例によってはきわめて効果的です。
薬物療法は、これまで使われてきた三環系抗うつ薬や四環系抗うつ薬に加えて選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)やセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)が使用可能になり、治療薬の選択の幅が広がりました。
2. 精神療法
精神療法(心理療法)のなかでうつ病に対する有効性が確認されているものに、認知療法と対人関係療法があります。
認知療法は、認知、つまり現実の受け取り方や考え方が私たちの情緒状態に影響を与えるという理解にもとづいて、悲観的すぎる認知をより現実的なものに修正し、問題解決を手助けすることによってうつ病を治療しようとするものです。
対人関係療法は、対人関係のつまずきがうつ病の誘因や持続因子になっていることが多いことから、対人関係の問題の解決を通してうつ病の治療を図ろうとするものです。とくに、精神的に重要な位置を占めている親しい人との別れや意見の食い違い、役割の変化に伴う人間関係の変化、対人関係の持ち方のスキルの問題に焦点づけて精神療法が行われます。
3. 環境調整
うつ病の発症には環境要因が大きく影響するため、治療の過程で患者様が身をおいている環境の中で発症に影響をしている環境要因を解決することも重要になります。
医師は患者様へのヒアリングを通して地域や家、職場の人間関係などのどこに原因があるかを探し、その原因を取り除けるように働きかけたり、生活の中から排除することが難しければ認知行動療法などを通して患者様の認知の方法が変わる手助けをします。
まとめ
うつ病は薬物治療や認知行動療法などにより治療が可能です。
またうつ病は自殺数の増加などの社会的な問題に発展する可能性もあるため、症状が現れた初期の段階で、信頼できる医療機関にかかることが重要です。
当院は夜間専門の精神科のため、日中通いずらい患者様も、人目が気になるというような精神科に抵抗感がある方でも継続して通院できます。
もしあなたが上記の症状に悩んでいるのであれば、一度当院の診察を受けて今のご状況をお聞かせください。