心がざわざわして落ち着かないと感じる状態は、誰にでも起こりうるものです。
一時的な不調であればセルフケアで改善が期待できますが、長引く場合には病気が背景に隠れている場合もあります。
この記事では、心がざわざわする、落ち着かないと感じる原因や対処法、考えられる病気について詳しく解説します。
心がざわざわして落ち着かない4つの原因
ここでは、心がざわざわして落ち着かない4つの原因を解説します。
1:ストレスやプレッシャーによる精神的な負荷
心がざわざわするときにまず考えられる原因は、仕事や人間関係などのストレスです。
強いストレスを受けると、体は無意識に「危険に備えるモード」に入り、自律神経のうち交感神経が活発になります。
すると心拍数が上がり、筋肉が緊張し、落ち着かない感覚が続くのです。
これが慢性化すると、リラックスを司る副交感神経がうまく働かなくなり、理由のない焦りや不安が日常的になってしまうこともあります。
2:疲労の蓄積や睡眠不足
十分な休息が取れない状態が続くと、心のざわざわは悪化しやすくなります。
特に睡眠は、脳の疲れを癒やし、感情を整理する大切な時間です。
睡眠不足や眠りの質が悪いと、脳の感情をコントロールする働きが弱まり、些細なことで不安や焦りを感じやすくなります。
3:ホルモンバランスの乱れ
ホルモンの変動も心がざわざわする原因のひとつです。
特に女性は月経前や更年期に、エストロゲンの分泌が変動しやすくなります。
エストロゲンは、心を落ち着ける脳内物質セロトニンに深く関わっているため、ホルモンバランスが乱れると、理由が分からない不安感やイライラ、心のざわざわを感じやすくなるのです。
4:カフェインやアルコールの過剰摂取
コーヒーやお酒に含まれるカフェインやアルコールも、心の状態に影響します。
カフェインは交感神経を刺激し、体を興奮状態にするため、摂りすぎると心がざわざわしやすくなります。
また、アルコールは一時的にリラックスできるように思えても、睡眠の質を下げるため、翌日さらに不安感や焦りが増すことがあります。
心がざわざわするときの対処法3選
突然心がざわざわすると感じた時は、まず心を落ち着ける対処法を試しましょう。
その場ですぐにできる3つの方法を紹介します。
1:深くゆっくりとした腹式呼吸を試す
心がざわざわしている時、呼吸は無意識に浅く速くなりがちです。
意識的に深く、ゆっくりとした腹式呼吸に切り替えることで、副交感神経が働き、心と体が落ち着きやすくなります。
心がざわざわして落ち着かないときは、次のように腹式呼吸をしてみましょう。
1:鼻から4秒かけて息を吸い、お腹を膨らませる
2:次に口から8秒かけて息を吐き、お腹をへこませる
3:この流れを数分間繰り返す
数分間繰り返すうちに、緊張がほぐれ、気持ちが落ち着いてくるのを感じられるでしょう。
2:その場から離れて気分転換をする
心のざわざわを引き起こす原因から距離を置くことも効果的です。
たとえば、次のような行動をしてみましょう。
・一度席を立つ
・ベランダに出て外の空気を吸う
・冷たい水で顔を洗う
新しい景色や香り、音といった五感への刺激が、心の切り替えを助けてくれるので、ぜひ試してみてください。
3:今の気持ちを正直に書き出してみる
頭の中に渦巻く不安や焦りは、はっきりしないからこそ大きく感じるものです。
紙に書き出すことで、それらを見える化し、冷静に向き合えるようになります。
「何が不安なのか」「なぜ焦っているのか」と自問し、まとまらない感情もそのまま書いてみましょう。
これは心理学でも推奨される「筆記開示」という方法で、漠然とした不安が対処可能な課題として整理されやすくなります。
心が落ち着かない状態を穏やかにするセルフケア4選
対処法で一時的に気持ちが落ち着いても、心のざわざわや落ち着かなさがぶり返すことは少なくありません。
そんなときは、日々の生活習慣を見直すことが根本的な改善につながります。
ここでは、心を穏やかにする4つのセルフケアをご紹介します。
1:規則正しい生活で睡眠の質を高める
質の高い睡眠は、心の安定を支える土台です。
毎日同じ時間に起き、寝る習慣をつけることで、自律神経のバランスが整いやすくなります。
朝はカーテンを開け、太陽の光を浴びて体内時計をリセット。
夜はスマートフォンやPCの使用を控え、部屋を少し暗くして「おやすみモード」に切り替えると、自然な眠気が訪れやすくなります。
2:バランスの取れた食事を心がける
食事は心の健康にも大きく影響します。
気分を穏やかにする脳内物質「セロトニン」の材料となるトリプトファンは、大豆製品、乳製品、バナナなどに豊富です。
さらにビタミンB6や炭水化物も組み合わせ、栄養バランスの取れた食事を心がけることで、不安やイライラを感じにくくなります。
参照:脳の栄養~ブドウ糖(砂糖)とトリプトファンを中心として~|独立行政法人農畜産業振興機構
3:カフェインやアルコールの摂取を控える
カフェインは一時的に脳を活性化させますが、摂りすぎると交感神経が刺激され、不安や緊張が強まることがあります。
午後以降は量を控え、デカフェを選ぶなど工夫しましょう。
また、アルコールは眠りを浅くし、翌日の疲労感や不安感につながります。
心のざわざわが気になるときは、飲み方を見直すことも大切です。
4:軽い運動で心と体をリフレッシュする
ウォーキングやヨガなどの軽い運動は、セロトニンの分泌を促し、心を落ち着けるのに効果的です。
体を動かすことで思考のループが断ち切れ、気分転換にもなります。
「少し汗ばむくらい」の運動を週に2〜3回続けるだけでも、心のざわざわが軽くなるのを感じられるでしょう。
心がざわざわする状態が長引くときに考えられる病気とは?
病名 | 特徴 | 心のざわざわ以外の主な症状 |
---|---|---|
全般性不安障害 | 理由のない不安や心配が6ヶ月以上続く | ・落ち着かない ・疲れやすい ・集中力低下 ・筋肉のこわばり ・不眠 |
うつ病 | ・強い落ち込みや「何も楽しくない」状態が2週間以上続く ・焦燥感として出ることも | ・意欲低下 ・食欲変化 ・睡眠障害 ・自責感 |
パニック障害 | 突然の発作と「また起きたら…」という強い不安に襲われる | 【発作時】 ・動悸 ・息苦しさ ・めまい ・死の恐怖 【普段】 ・発作が起きそうな場所を避ける |
自律神経失調症 | ・自律神経の乱れで様々な不調が現れる ・検査で異常が見つからないことも多い | ・めまい ・頭痛 ・動悸 ・多汗 ・倦怠感 ・不眠 |
ADHD(注意欠如・多動性障害) | 不注意や多動・衝動性の特性により落ち着かない感覚が続く | ・忘れ物が多い ・計画することが苦手 ・じっとできない ・話を最後まで聞けない |
甲状腺機能亢進症 | 甲状腺ホルモンの過剰で体が常に興奮状態になる | ・動悸 ・多汗 ・体重減少 ・手の震え ・イライラ ・疲れやすい ・眼球突出 |
セルフケアを試しても心のざわざわが何週間も続いたり、日常生活に支障が出ている場合は、病気が隠れている可能性があります。
ここでは、心のざわざわを症状のひとつとする代表的な病気をまとめました。
当てはまることが多ければ、医療機関への相談を検討してみましょう。
まとめ
- ・心がざわざわする主な原因は、ストレス・疲労・ホルモンバランスの乱れ・カフェインやアルコールの過剰摂取など
- ・対処法には腹式呼吸や気分転換、気持ちを書き出すことが挙げられる
- ・睡眠や食事、運動、飲み物の見直しなど日常のセルフケアが心の安定に役立つ
- ・長引く心のざわざわは、不安障害・うつ病・自律神経失調症・甲状腺疾患など病気の可能性もある
- ・症状が続き、日常生活に支障が出る場合は医療機関への相談が大切
心がざわざわする状態は、日常のストレスや生活習慣の影響で起こることが多く、セルフケアで改善が期待できます。
ただし、症状が長引いたり生活に支障が出る場合は、不安障害やうつ病などの病気が関わっている可能性もあります。
心がざわざわして落ち着かない状態が続くときは、精神科・心療内科などの医療機関に相談してみましょう。