仕事や人間関係、家庭環境など、日々の生活の中で知らず知らずのうちにストレスを抱え続けている人は少なくありません。
ストレスは、心や体、行動にじわじわと影響を及ぼし、限界を超えると深刻な不調となって表れることもあります。
この記事では、ストレスが限界に達した時にあらわれる症状を精神面・身体面・行動面から解説したうえで、危険なサインや具体的な対処法まで詳しく紹介します。
自身や大切な人の不調に気づき、早めの対応ができるように、正しい知識を身につけておきましょう。
もしかして限界かも?ストレスが溜まった時に出る症状
心や体の不調は、ストレスが限界に近づいているサインです。
精神面・身体面・行動面の3つの側面から代表的な症状を整理したので、当てはまるものがないか確認し、早めの対処に役立ててください。
参照:在外教育施設安全対策資料【心のケア編】 > 第2章 心のケア 各論|文部科学省
【精神面】心にあらわれる症状
ストレスが溜まると、まず心に変化が現れます。
興味が持てなくなる、気分の浮き沈みが激しくなる、思考が鈍るといった形で日常に支障をきたします。
これらは一時的な気分の問題ではなく、心が疲れているサインです。
【身体面】体にあらわれる症状
ストレスが蓄積すると、自律神経のバランスが崩れ、体にもさまざまな不調が現れます。
病院で検査しても異常が見つからないケースも多く、原因がわからずに悩む人も少なくありません。
汗が止まらない、体が重くて起き上がれないといった症状も、ストレスが背景にある可能性があります。
【行動面】行動にあらわれる変化
ストレスの影響は、行動にも表れます。
活動意欲が低下し、身の回りのことが億劫になるのは、心と体のエネルギーが枯渇しているサインです。
周囲から見れば変化に気づきにくく、「やる気がない」と誤解されやすいですが、本人の努力ではどうにもならない深刻な状態です。
【要注意】ストレスが限界を超えた時に出る危険な4つのサイン
上記のような症状がある場合、ストレスは限界を超えている可能性があります。
心と体が発する深刻な警告であり、放置するとうつ病などのリスクも高まります。
一つでも当てはまる場合は、早めに専門機関に相談することが重要です。
1:感情のコントロールができない
上記の状態は、ストレスにより感情を抑える力が働かなくなっているサインです。
理性の働きが鈍り、気持ちのコントロールがきかなくなるのは、脳が限界まで疲弊している証拠といえます。
2:めまいや動悸で倒れることがある
ストレスによって自律神経が乱れると、心拍や血圧のコントロールが効かなくなってきます。
そのまま無理を重ねていると、意識が遠のいたり、突然倒れてしまうこともあります。
限界を超えた心と体が、強制的に「休ませよう」とブレーキをかけているのです。
3:人に会いたくない、何もしたくない
心のエネルギーが枯渇すると、外の世界と関わることすら負担に感じるようになります。
日常生活のあらゆることがつらくなり、刺激から身を守るために心がシャットダウンするような状態に。
うつ病などにも見られる、見過ごせないサインです。
4:食欲がない、または過食してしまう
ストレスが脳の働きに影響を及ぼすと、食欲にも異常が生じます。
極端な食欲不振や過食は、心の不調が体にまで影響しているサインです。
体重の急激な増減は健康を大きく損なうため、早めの対処が必要です。
ストレスが限界に達した時にすぐできる対処法3つ
限界サインに気づいたら、無理をせず、自分を守る行動をとることが大切です。
ここでは、ストレスが限界に達した時にすぐできる対処法を3つご紹介します。
1:まずは安全な場所でゆっくり休む
ストレスが限界に近づいたときに必要なのは、何よりも休息です。
静かで安心できる場所に移動し、周囲の刺激から距離を取りましょう。
スマートフォンやテレビは一度オフにして、「何もしない時間」を意識的につくってみてください。
頭に浮かぶ考えごとは無理に整理しなくてかまいません。
今は、ただぼんやりと過ごすことを優先しましょう。
2:自分の気持ちを言葉にして書き出す
つらさや不安で頭の中がいっぱいになったときは、その気持ちを紙に書き出すだけでも心が少し軽くなります。
「ムカつく」「もう限界」など、思いついた言葉をそのまま書き出してみてください。
気持ちを文字にすることで、思考の整理が進み、自分の状態を少し客観的にとらえやすくなります。
感情を外に出すこの行為は、心の負担をやわらげるセルフケアとして有効です。
3:5分でできるリフレッシュ方法を試す
すぐに休めない状況や気持ちの切り替えが難しいときは、短時間でできるリフレッシュが助けになります。
たとえば、次のような行動を取ってみてください。
・ゆっくり深呼吸をする
・首や肩を軽くストレッチする
・好きな音楽を1曲聴く
・冷たい水で顔を洗う
たった5分でも、心と体に少しの余白が生まれます。
難しく考えず、取り入れやすいものから始めてみてください。
ストレスを溜め込まないための3つの対策
応急処置で落ち着いたら、次はストレスをためこまない工夫が必要です。
ストレスの原因から距離をとり、心と体を整えることで、限界に達する前に自分を守れるようになります。
ここでは、無理なく日常に取り入れられる3つの対策を紹介します。
1:ストレスの原因から物理的に離れる
ストレスの原因がはっきりしている場合は、少しでも物理的に距離をとることが有効です。
たとえば、苦手な人との接触を減らす、つらい職場から一時的に離れる、SNSから離れる時間をつくるなど、できる範囲で環境に変化を加えてみてください。
小さなことでも、心の負担がぐっと軽くなることがあります。
環境から離れる行動は「逃げ」ではなく、自分を守るための前向きな選択です。
2:生活習慣を見直す
ストレスに負けない心と体をつくるためには、生活習慣を整えることが大切です。
中でも睡眠・食事・運動の3つは、心の調子を安定させるための基本になります。
たとえば、毎日同じ時間に起きるだけでも体内リズムが整いやすくなり、睡眠の質が高まります。
栄養のある食事を心がけたり、軽いウォーキングを取り入れたりするだけでも、気分が前向きになっていく変化を感じやすくなります。
無理のない範囲で、できることから少しずつ始めてみましょう。
3:ストレスコーピングを身につける
ストレスを感じたときに心を立て直す方法をいくつか持っておくと、気持ちの余裕につながります。
たとえば、次のような方法が効果的です。
・信頼できる人に話す
・スケジュールを見直す
・趣味に集中する
・美味しいものを味わう
・思いきり泣く
日常の中で「気持ちが少し楽になった」と感じたことを、自分なりの対処リストとして書き留めておくと安心です。
不調を感じたとき、そのリストが心強い支えになってくれます。
まとめ
- ・ストレスが溜まると、心・体・行動にさまざまな不調があらわれる
- ・感情の爆発やめまい・過食などは、限界を超えたサインの可能性がある
- ・安全な場所での休息や気持ちを書き出すなどの応急処置が有効
- ・ストレス源からの距離・生活習慣の見直し・コーピングの習得が予防につながる
- ・一つでも当てはまる症状があれば、早めに専門機関への相談を検討する
ストレスは目に見えないからこそ、気づいたときには深刻化していることもあります。
心や体の変化を放置せず、「限界かもしれない」と感じた段階で自分を守る行動をとることが大切です。
「もう限界」と感じる前に、自分の心と体をいたわる習慣を身につけていきましょう。