【痩身医監修】コレステロールを下げる薬コレバインのダイエット効果・副作用を解説
コレステロールを下げる薬「コレバイン」はダイエットにも効果的であることが知られています。
この記事では、コレバインのダイエット効果や副作用などについて解説していきます。
– この記事の監修者 –
江越正敏
ファイヤークリニック総院長
佐賀大学医学部を卒業後、病院・美容クリニックでの勤務経験を経て、2020年にファイヤークリニック開業。美容医学、遺伝子学、栄養学、精神医学など肥満治療に関わる多方面から痩身医学研究と実践をする。精神科医としても臨床に当たっており、西洋医学から東洋医学に渡って世界中から集積した独自の短期集中型医療ダイエット「ファイヤーメソッド」を開発。
ファイヤークリニック
Contents
コレバインとは【コレステロールを下げる薬】
一般名はコレスチミドで、コレステロールを下げることができる薬剤です。
1979年に日本で生まれました。
コレステロールは胆汁酸の材料となります。
胆汁酸を吸着することで胆汁酸の再吸収を阻害することで胆汁酸の腸からの供給を減らし、コレステロールから胆汁酸の産生を促進します。それによって血中のコレステロールの消費を亢進させて血中のコレステロールを下げます。
また、腸管からのコレステロールの吸収も抑えます。
コレステロールのはたらき【高いと何が問題?】
コレステロールとは体の中の脂質の一種で、脂質には他に中性脂肪、リン脂質、脂肪酸などがあります。中でもコレステロールは細胞膜やホルモン(副腎皮質ステロイドや男性ホルモン、女性ホルモンなどのステロイドホルモンと呼ばれるもの)、胆汁酸の材料となるためなくてはならない物なのです。
しかし、コレステロールは悪いイメージを持たれがちですよね。
コレステロールが高いと何が悪いのかをご説明します。
採血でよく確認されるコレステロールの種類として、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)とHDLコレステロール(善玉コレステロール)の2種類があります。この2種類の中で高いと問題になるのはLDLコレステロールの方です。
コレステロールは脂質なので直接血液に溶けることができません。そのため「リポタンパク質」という物質に包まれたカプセルとして血中を移動します。このリポタンパク質の密度の違いによってLDLやHDLという名前がつけられています。
LDLコレステロールはコレステロールを体内に溜め込む役、HDLコレステロールは体内からコレステロールを回収する役を担っています。
体内のコレステロールの量は、LDLによる供給とHDLによる回収のバランスで成り立っています。しかし、食事や体質などによって、LDLコレステロールが増えすぎたり、余分なコレステロールを回収するHDLコレステロールが少なすぎたりすると、コレステロールのバランスが崩れ、血管内にコレステロールが蓄積して、動脈硬化や血管の内側を狭める(プラーク形成)原因となります。
LDLコレステロールが「悪玉コレステロール」、HDLコレステロールが「善玉コレステロール」と呼ばれるのは、こうした働きによるものです。
胆汁酸とコレステロールの関係【腸肝循環のメカニズム】
コレバインは胆汁酸の再吸収を阻害する薬です。それによってどのようにしてコレステロールが減少するかをご説明します。
先ほども申し上げましたが、胆汁酸はコレステロールを材料にして肝臓で生成されます。その後胆嚢に運ばれて蓄えられ、食事をすると胆管を通って消化管に排出されます。
消化管に排出された胆汁酸は食事由来のコレステロールの吸収を助けます。その後、消化管に排出された胆汁酸のほとんど(95%ほど)が消化管で再吸収され肝臓に戻ります。この一連のサイクルを胆汁酸の腸肝循環と呼びます。
コレバインは胆汁酸の再吸収を阻害します。胆汁酸の再吸収が阻害されることで体は胆汁酸が不足していると判断します。それによって、胆汁酸の生成が亢進し、コレステロールの消費が増えます。
またコレバインは胆汁酸の食事由来のコレステロールの吸収を助ける働きを阻害するためコレステロールの吸収も減少します。
コレバインのダイエット効果
コレバインのダイエットに関する論文をご紹介します。
心血管リスクのあるメタボリックシンドロームの患者61人を対象とした研究で、コレスチミドを内服しながら生活習慣の改善を行った群と生活習慣の改善のみを行った患者群で体重の減少を比較した結果、5%の体重減少を認めた方の割合がコレスチミドを内服を行った群で優位に多い結果となりました(71.4% vs. 33.3%; p < 0.01)。またウエストに関してもコレスチミドを内服した群の方が優位に減少していました (10.1±5.4 vs. 7.1±5.2 cm, p < 0.05)。
Yamaoka-Tojo, M., Tojo, T., Kosugi, R., Aoyama, N., Niwano, S., Kurokawa, S., & Izumi, T. (2008). Effect of colestimide on reduction of body weight and waist circumference in metabolic syndrome patients with cardiovascular risk factors. Vascular Disease Prevention, 5(3), 183-189.
つまり、コレバインを内服することでダイエットがスムーズにいくようですね。また代謝を上げてくれる効果も報告されています。
コレスチミドを投与されたマウスでは、胆汁酸の産生が亢進することにより、褐色細胞内で甲状腺ホルモンであるT4をT3に変換する(変換されることで代謝を上げる働きが増す)酵素であるD2、ミトコンドリアの生合成を促進するPGC-1α、ミトコンドリア内で、蓄えられた脂肪を原料として熱を発⽣させるUCP-1というタンパク質の発現を促進します。
Watanabe, M., Morimoto, K., Houten, S. M., Kaneko-Iwasaki, N., Sugizaki, T., Horai, Y., … & Auwerx, J. (2012). Bile acid binding resin improves metabolic control through the induction of energy expenditure.
つまりコレバインを内服すると褐色脂肪細胞が活性化されて代謝が上がるということです。
コレステロールを下げるだけではないのですね!
コレバインの副作用【便秘に注意】
コレバインの最も頻度の高い副作用は便秘です。
胆汁酸はコレステロールの吸収を促す役割の他に腸管に水を引き込み便を柔らかくする働きもあるのですが、コレバインは胆汁酸を吸着することでその働きを弱めます。それによって便が固くなり便秘を引き起こします。
その作用を逆に応用して、下痢で困っている方が下痢止めとして使用することもあります。
コレバイン服用2週間。
水様下痢1日5-10回→やわめ1日1回
朝晩服用すると、便秘のような腹部の違和感があったので、朝のみ1回に変更したが、便回数は増えなかった。
朝服用する時間も、朝食1時間前、朝食後のどちらでも効果に変化はなかった。
コレバインは神✨#クローン病#胆汁性下痢#コレバイン— 前後左右 (@VKjhoz3EHE8YjIo) November 5, 2020
こちらの方は消化器疾患による下痢がコレバインによって落ち着いたようですね。
当院でもメトホルミンの副作用で下痢になってしまった方に対して処方することがあります
そのほかの重大な副作用はあまりなく、比較的安全に使用できる点も大きなメリットです。
コレバインが向いている人・飲んではいけない人【どんな人におすすめ?】
以上を踏まえて、コレバインがおすすめな方とはどんな方かというと、
- LDLコレステロールが高いと診断された方
- 下痢、軟便傾向の方
これらに当てはまる方はコレバインが非常におすすめです。
逆に飲むことができない方は、
- 既にひどい便秘の方
- 胆道の閉塞のある方
- 消化管の閉塞や狭窄のある方
などが挙げられます。痔や消化管潰瘍のある方も症状の悪化する恐れがあるため避けた方が良いです。
コレバインの飲み方【1日2回の食事の30分前】
コレバインは1日2回食事の30分前に飲むとより効果があります。
胆汁酸は食事をすることによって胆嚢から排出されるため、食事に合わせて飲むことで効果を発揮します。
便秘の副作用が辛い方は1回に減らして使用したり1日おきに使用しても良いです。
まとめ
いかがだったでしょうか?
今回はLDLコレステロールを下げてダイエットもできる薬コレバインについて解説しました。
コレバイン単体ではダイエット効果は少ないと思いますが、他のダイエット薬や生活習慣の改善と共に使用すると大きなメリットのある薬です。
当院でも他の薬と併用することでダイエット効果を得られるのみならず、コレステロール値の改善や副作用のコントロールを目的として使用しております。
興味のある方は是非お気軽にお問い合わせください!
ファイヤークリニック
youtubeでも解説しておりますのでぜひご覧ください!
PROFILE
-
2017年 佐賀大学医学部 卒業
2017年 都立松沢病院 勤務
2019年 都立多摩総合医療センター 勤務
2020年 FIRE CLINIC新宿院 開院
2021年 渋谷院、銀座院開院
2023年 新宿、渋谷、銀座、名古屋の4院に展開しFIRE CLINIC総院長を務める。
2024年 公益財団法人ルイ・パストゥール医学研究センター 再生医療研究室 特任研究員
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