【糖を尿から排泄】フォシーガとは?ダイエット効果、副作用などを医師が解説

フォシーガとは?

フォシーガ(一般名:ダパグリフロジン)は、2型糖尿病の治療薬のひとつで、SGLT2(腎臓のナトリウム依存性グルコース共輸送体2)阻害剤の一種です。フォシーガは、腎臓での糖の再吸収を阻害することで、血糖値を下げる効果を持っています。

フォシーガは、2014年に米国で承認され、その後、欧州、日本、オーストラリア、カナダ、メキシコ、インド、中国など、世界中で多くの国々で承認されています。

フォシーガは、1日1回または1日2回の投与が承認されており、通常は口腔内で摂取されます。腎臓機能が低下した患者には使用できない場合があるため、治療を始める前には医師と相談する必要があります。

また、フォシーガにはいくつかの副作用が知られており、尿路感染症、膀胱がんのリスクの増加、低血糖、脱水などが報告されています。これらの副作用については、医師に相談することが重要です。

フォシーガを飲むと痩せる?

フォシーガ(ダパグリフロジン)は、2型糖尿病の治療薬として開発された薬であり、本来の目的は血糖値を下げることです。フォシーガが体重を減らすために設計された薬ではありません。

しかし、フォシーガは、糖尿病患者において、尿中に排出される糖の量を増やすことで、カロリー摂取量を減らすことができます。これにより、一部の糖尿病患者において、体重が減少する可能性があります。

SGLT2阻害薬の体重減少におけるメタ解析を行った研究では

ダパグリフロジンを内服した人はプラセボと比較すると、ダパグリフロジンのほうが体重が有意に減少していることがわかりました。さらにダパグリフロジンは下記のように容量依存的に体重が減少していることも明らかになりました。

2.5 mg⇨-1.30 kg

5 mg⇨-1.51 kg

10 mg⇨1.79 kg

20 mg⇨-2.24 kg

Cai, X., Yang, W., Gao, X., Chen, Y., Zhou, L., Zhang, S., … & Ji, L. (2018). The association between the dosage of SGLT2 inhibitor and weight reduction in type 2 diabetes patients: a meta‐analysis. Obesity, 26(1), 70-80.

また、2型糖尿病患者に対して行われた研究では

メトホルミン+プラセボ群と比較してメトホルミン+フォシーガでは優位に体重の減少(24週間で-2.96kg)を認めました。また内臓脂肪の優位な減少も認めました。

Bolinder, J., Ljunggren, Ö., Kullberg, J., Johansson, L., Wilding, J., Langkilde, A. M., Sugg, J., & Parikh, S. (2012). Effects of dapagliflozin on body weight, total fat mass, and regional adipose tissue distribution in patients with type 2 diabetes mellitus with inadequate glycemic control on metformin. The Journal of clinical endocrinology and metabolism97(3), 1020–1031. https://doi.org/10.1210/jc.2011-2260

点線がメトホルミンとプラセボ(偽薬)実践がメトホルミンとフォシーガを併用した場合の体重の推移を現した表です。

フォシーガを併用することによって明らかに体重の現象するスピードが速くなったことがわかりますね。

左がメトホルミン+プラセボ、右がメトホルミン+フォシーガ、白が脂肪量の減少、斜線が除脂肪体重の減少を表しています。メトホルミン+フォシーガの方が体脂肪の減少が明らかに大きく、体脂肪の減少に対して徐脂肪体重はある程度保てていることがわかりますね。
白が内臓脂肪、斜線が皮下脂肪の減少を表しているグラフです。メトホルミン+フォシーガの方が内臓脂肪も皮下脂肪もバランス良く減っていることがわかります。

上記のように体重減少のエビデンスはありますが、フォシーガ(ダパグリフロジン)は、2型糖尿病の治療薬であり、痩せるための薬ではありません。フォシーガは、糖尿病患者において、尿中に排出される糖の量を増やすことで、血糖値を下げる効果があります。この作用によって、一部の糖尿病患者においては体重が減少する可能性がありますが、必ずしも全ての患者で期待できるわけではありません。

フォシーガを使用した場合、体重が減少するかどうかは、患者の個人差や生活習慣、食事内容などによって異なります。また、フォシーガの効果は血糖値を下げることにあり、体重減少が目的の場合は、適切な食事管理や運動習慣の改善などの取り組みが必要になります。

最終的に、フォシーガを使用する場合は、医師の指示に従い、適切な使用方法を守ることが重要です。また、体重減少を目的とする場合は、医師や栄養士の指導の下、適切な食事管理や運動習慣の改善などの取り組みをすることが大切です。

カナグルとフォシーガの違いは?

カナグル(カナグリフロジン)とフォシーガ(ダパグリフロジン)は、どちらも2型糖尿病の治療薬であり、SGLT2阻害剤として知られています。

SGLT2阻害剤は、腎臓のSGLT2と呼ばれる輸送体を阻害することで、糖尿病患者の血糖値を下げることができます。カナグルとフォシーガは、共にSGLT2阻害剤であり、同じ作用機序を持っています。

しかし、カナグルとフォシーガにはいくつかの違いがあります。たとえば、カナグルは1日1回、フォシーガは1日1回または1日2回の投与が承認されています。また、フォシーガは腎機能が低下した患者には使用できない場合がありますが、カナグルは低下した腎機能の患者にも使用できます。

さらに、カナグルとフォシーガは、副作用のリスクが異なる場合があります。たとえば、カナグルは尿路感染症のリスクが高いことが知られていますが、フォシーガは尿路感染症のリスクが低いことが報告されています。

体重減少に関してはカナグルは100mg1錠で−1.8kgと少ない錠数で大きな効果を得ることが可能なので当院ではカナグルを採用しております。

最終的に、カナグルとフォシーガの選択は、患者の個別の状況や医療専門家の判断によって異なる場合があります。医療専門家による個別の診療により、最も適した治療法を選択することが重要です。

(当院ではフォシーガは取り扱っておりません。)

フォシーガの副作用は?

フォシーガ(ダパグリフロジン)の一般的な副作用には、以下が挙げられます。

  • 低血糖
  • 脱水症状
  • 尿路感染症
  • 頻尿
  • 下痢
  • 便秘
  • 嘔吐
  • 鼻詰まりや喉の痛みなどの上気道感染症状

重篤な副作用としては、まれに次のようなものが報告されています。

  • 低血糖性昏睡
  • 腎機能障害
  • 肝機能障害
  • 神経障害(末梢神経障害、感覚異常、めまいなど)

上記の副作用が現れた場合、医師に相談することが重要です。また、フォシーガを使用する前に、医師に自分の健康状態や薬剤治療歴、アレルギー歴などを正確に伝えることが必要です。

まとめ

・フォシーガで体重は-1.3~-2.2kgほど落ちるというエビデンスがある。

・しかし、ダイエットのための薬ではないため使用に関しては医師に相談する必要がある。

・副作用は脱水や尿路感染症に注意する必要がある。

youtubeでも解説しておりますのでぜひご覧ください!


※当院では取扱のない薬剤となります。類似のものやその他多数のダイエット薬を取り扱っておりますのでぜひHPをご覧ください。

ファイヤークリニック

PROFILE

江越 正敏
江越 正敏FIRE CLINIC総院長
2017年 佐賀大学医学部 卒業
2017年 都立松沢病院 勤務
2019年 都立多摩総合医療センター 勤務
2020年 FIRE CLINIC新宿院 開院
2021年 渋谷院、銀座院開院
2023年 新宿、渋谷、銀座、名古屋の4院に展開しFIRE CLINIC総院長を務める。
2024年 公益財団法人ルイ・パストゥール医学研究センター 再生医療研究室 特任研究員

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