【マンジャロ】2型糖尿病治療薬チルゼパチドのダイエット効果を解説
・新発売されたチルゼパチドが気になる
・マンジャロのダイエット効果は何?
・チルゼパチドの副作用や注意点をチェックしておきたい
マンジャロ(チルゼパチド)について解説していきます!
記事で解説する内容は以下の通りです。
・チルゼパチド(マンジャロ)とは
・チルゼパチドの承認申請
・チルゼパチドの適応と作用機序
・チルゼパチドのダイエット効果
・チルゼパチドとセマグルチドとの違い
・チルゼパチドの副作用と注意点
・チルゼパチドの臨床試験
チルゼパチドの安全性・有効性に関する試験についても解説しているので最後まで読んでくださいね!
すぐにチルゼパチドの臨床試験【SURMOUNT-1・SURPASS-5】について読むにはこちらから
Contents
チルゼパチド(商品名: マンジャロ)とは【世界初の持続性GIP/GLP-1受動体作動薬】
チルゼパチドとは、グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド(GIP)とグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)の二つの受容体に作用する「世界初の持続性GIP/GLP-1受容体作動薬です。
チルゼパチドは、その一つの分子で「GIPとGLP-1のどちらの受容体にも作用することができる」という特徴を持っています。
GIPとGLP-1は膵臓に作用してインスリンの分泌を促すホルモンであり、さらに食欲を抑制するという作用もあります。
チルゼパチド(マンジャロ)の承認申請【日本での発売はいつ?】
日本での発売は2023年4月
マンジャロは、イーライリリー・アンド・カンパニーが米国において2022年5月13日、世界初の持続性GIP/GLP-1受容体作動薬として承認を取得し、2022年6月7日より「Mounjaro」の製品名で販売を開始しました。
日本では2.5mgおよび5mgの製剤は2023年4月18日に発売されています。
チルゼパチド(マンジャロ)の適応と作用機序
現在の適応は「2型糖尿病のみ」
GIP/GLP-1の役割
GIPとGLP-1は「インクレチン」という小腸から分泌されるホルモンです。
インクレチンは食事摂取後に腸管から分泌され、インスリン分泌を促進する作用があります。
また、食欲抑制作用もあり、体重管理にも役立つとされています。
チルゼパチドの作用メカニズム
これまでのインクレチン製剤はGLP-1受容体”のみ”に作用する「GLP-1受容体作動薬」だけでした。
一方、チルゼパチドは、GIP受容体とGLP-1受容体の2つの刺激により
・インスリンの分泌のコントロール
・食欲の抑制
といった効果が期待できます。
これに伴い、後述する臨床試験でもしっかりとした体重減少を認めています。
チルゼパチドの適応
添付文書におけるチルゼパチド(マンジャロ)の適応は、2023年4月現在では「2型糖尿病に対してのみ」となっています。
なお、臨床試験では血糖降下作用に加え、体重減少作用を優位に認めているため、今後は肥満症の治療薬としても注目されています。
チルゼパチドのダイエット効果【糖尿病薬でなぜ痩せる?】
チルゼパチドによるダイエット効果は、大きく2つに分けられます。
それぞれについて詳しく解説します。
血糖値を下げる効果
チルゼパチドは、GIPとGLP-1、双方の作用を持っています。
前述したように、これらのホルモンはどちらも小腸の細胞から分泌され、膵臓に作用することでインスリンの分泌を促します。
結果、血糖値は低下します。
体重を減らす効果
チルゼパチドには食欲を抑える効果があり、食べる量が減ることにより体重が減ります。
ちなみに、GLP-1とGIPが食欲を抑制する経路は別々です。
『食欲を抑えるホルモン』として有名な「GLP-1」は、食欲の調整をする「視床下部弓状核」や「室傍核」のGLP-1受容体に直接作用することで食欲を抑制します。
一方、GIPは、脂肪細胞にレプチンというホルモンを分泌させて食欲を低下させます。
レプチンは、満腹感や代謝亢進に関わるホルモンであり、脳の視床下部にあるPOMC神経に作用して食欲を抑制すると考えられています。
どちらのルートも研究中なので、成果に期待しましょう。
チルゼパチドとセマグルチドとの違い【オゼンピックも】
チルゼパチドは週1の注射で効果が持続
GLP-1受容体作動薬であるセマグルチドは37個のアミノ酸で形成されており、26番目のリジンがC-18の脂肪酸で修飾されている構造を持ちます。
一方、チルゼパチドは、39個のアミノ酸からなりC-20の脂肪酸で修飾されています。
これらは脂肪酸で修飾されていることにより、内因性のアルブミンとの結合が増強され、薬剤の分解を遅らせることができます。
そのため、オゼンピックやチルゼパチドは「週に1回だけ注射をすれば効果が持続する」とされています。
チルゼパチド(マンジャロ)の副作用と注意点
チルゼパチドの使用上の注意点について解説します。
上記の項目について、それぞれわかりやすく解説します。
チルゼパチドの副作用
一般的な副作用
頻度の多い副作用としては
- 悪心
- 嘔吐
- 下痢
- 便秘
- 腹痛
- 膵アミラーゼ増加
- リパーゼ増加
といったものがあります。
副作用の頻度はGLP-1と変わらない、と報告されています。
重篤な副作用
重大な副作用には、低血糖(頻度不明)や急性膵炎(0.1%未満)があります。
チルゼパチドの使用中に冷や汗や震え、怠さを認めたときには低血糖になっている可能性があるため、スポーツドリンクや飴などを摂取しましょう。
また、嘔吐を伴う激しい腹痛は急性膵炎を疑うべき症状であり、できるだけ早く医療機関を受診する必要があります。
ファイヤークリニック
チルゼパチドの使用上の注意
・糖尿病薬、経口避妊薬、抗凝固薬は併用注意
・妊娠中、授乳中、小児、高齢者は使用しない
併用禁忌薬
チルゼパチドには血糖値を下げる効果があり、低血糖のリスクがあります。
糖尿病薬と併用する場合は、医師の指導の元で行う必要があります。
また、ピルの効果を遅らせたり、”血液サラサラ薬”が効きにくくなる恐れがあるため、これらの薬剤の併用も注意が必要です。
その他注意
妊娠中の方はラットの実験で催奇形性を認めており、使用できません。
また、授乳中や小児、高齢者においても安全性は確認されていません。
ファイヤークリニック
チルゼパチドの用法・用量
・週1回5mgの皮下注射が基本
・最大用量は週1回15mg
マンジャロの添付文書にて、以下のように使用方法の記載があります。
通常、成人には、チルゼパチドとして週1回5mgを維持用量とし、皮下注射する。ただし、週1回2.5mgから開始し、4週間投与した後、週1回5mgに増量する。
なお、患者の状態に応じて適宜増減するが、週1回5mgで効果不十分な場合は、4週間以上の間隔で2.5mgずつ増量できる。ただし、最大用量は週1回15mgまでとする。
医療用医薬品 : マンジャロ
参考に、チルゼパチドを使用した研究では「5mgから開始し4週ごとに5mgづつ増量する」ケースが多いです。
ファイヤークリニック
チルゼパチドの臨床試験【SURMOUNT-1・SURPASS-5】
2型糖尿病患者に対し体重減少やHbA1cの減少があった
チルゼパチドは、2つの国際共同試験(SURMOUNT-1・SURPASS-5)にて、有効性および安全性が認められました。
それぞれについて詳しく解説します。
SURMOUNT-1試験
インド・日本・メキシコ・アメリカにある52の医療機関で行われた「40 週間の二重盲検無作為化プラセボ対照第 3 相試験」のことを「SURMOUNT-1」といいます。
試験対象者の条件は以下の通りです。
・成人の2型糖尿病患者
・食事と運動ではコントロール不良
・インスリン治療なし
結果は以下の通りです。
・HbA1cの減少プラセボに対してチルゼパチド 5 mgで -1.91% (-21 mmol/mol) 、チルゼパチド 10 mgで-1.93% (-21 mmol/mol) 、チルゼパチド 15 mgで -2.11% (-23 mmol/mol) と優位な減少(p<0.0001)
・7~9.5kgの容量依存的な体重減少
・もっとも頻繁に見られた副作用は、吐き気 (12–18% )、下痢 (12–14%)、および嘔吐 (2–6%) などの消化器症状
Julio Rosenstock. Efficacy and safety of a novel dual GIP and GLP-1 receptor agonist tirzepatide in patients with type 2 diabetes (SURPASS-1): a double-blind, randomised, phase 3 trial. Lancet
. 2021 Jul 10;398(10295):143-155.
SURPASS-5試験
「SURPASS-5」は、8ヶ国 45の医療機関にて行われた国際共同第Ⅲ相試験です。
メトホルミン併用又は非併用下でのインスリン グラルギン1日1回投与で血糖マネジメントが不十分な成人2型糖尿病の被験者475名(日本人:82名)を対象に、チルゼパチド5mg、10 mg、15 mgを週1回併用投与したとき効果を評価しました。
結果は以下の通りです。
・開始から40 週の時点で、ベースラインからの平均 HbA 1c変化は、5 mgで-2.11%、10 mgで -2.40%、15 mgで -2.34% であったのに対してプラセボでは -0.86%
・平均の体重減少が5mgの群で約-6kg、10mgの群で約-8kg、15mgの群で約−11kg
Dominik Dahl, MD. Effect of Subcutaneous Tirzepatide vs Placebo Added to Titrated Insulin Glargine on Glycemic Control in Patients With Type 2 Diabetes. JAMA. 2022;327(6):534-545.
まとめ
この記事で解説した内容は以下の通りです。
・チルゼパチド(マンジャロ)とは
・チルゼパチドの承認申請
・チルゼパチドの適応と作用機序
・チルゼパチドのダイエット効果
・チルゼパチドとセマグルチドとの違い
・チルゼパチドの副作用と注意点
・チルゼパチドの臨床試験
記事のまとめ
・チルゼパチドは世界初のGIP/GLP-1受容体作動薬
・チルゼパチドは①インスリン分泌を促進させ②食欲を減らすことで血糖値や体重を減少させる効果がある
・副作用は吐き気や下痢、嘔吐などの消化器症状が多い
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PROFILE
-
2017年 佐賀大学医学部 卒業
2017年 都立松沢病院 勤務
2019年 都立多摩総合医療センター 勤務
2020年 FIRE CLINIC新宿院 開院
2021年 渋谷院、銀座院開院
2023年 新宿、渋谷、銀座、名古屋の4院に展開しFIRE CLINIC総院長を務める。
2024年 公益財団法人ルイ・パストゥール医学研究センター 再生医療研究室 特任研究員
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