【夕方のウォーキングの効果】ダイエットに最適なウォーキングのタイミングは夕方!【現役ダイエット専門医師が徹底解説】

肥満と運動不足の関係性は?

現在の世界的な肥満の大流行は、日中の運動不足と座りがちな行動(長時間の座位)の組み合わせによるものであることが一部判明しています。

運動には2型糖尿病の予防・改善の効果があるとされています。これまでの研究でも、座ったまま過ごす時間を中断し、短い休憩をとり、立ち上がり体を動かすことが、心血管に関わる代謝の改善につながることが示されています。

 座位時間が長くなったときは、立ち上がって軽い身体活動を行うだけで、体のブドウ糖や脂肪酸の利用が促され、中性脂肪値や血糖値などが低下することが確かめられているのです。

 空腹時に中性脂肪値が高いと、肝臓に脂肪が過剰にたまり、インスリン抵抗性になりやすくなると考えられています。過去の研究でも、運動を行うことで、肝臓に蓄積される脂肪が減り、インスリン感受性が改善し、インスリンが効きやすくなることが確かめられています。

※インスリン抵抗性とは:

インスリンは膵臓から分泌され、血中のグルコースを細胞内に取り込んで血糖値を下げます。インスリンの欠乏や作用低下は糖尿病を引き起こします。インスリン抵抗性とは、同じ血糖値の下げ方に必要なインスリン量が多いことを意味します。これは2型糖尿病の重要な原因であり、肥満や高血圧、高脂血症などの危険因子としても重視されています。

運動より楽して痩せたい方はダイエット薬を使用しても良いです。

午後から夕方のウォーキングがインスリン抵抗性を軽減する。

午後から夕方にかけて、ウォーキングなどの活発な運動をすると、1日を通して運動を均等に分散して行った場合に比べ、血糖を下げるインスリンが効きにくくなるインスリン抵抗性をより軽減しやすいという研究を、オランダのライデン大学医療センターが発表しました。研究は、欧州糖尿病学会(EASD)が刊行する医学誌「ダイアベトロジア」に発表されたものです。

 「運動や身体活動は、基本的にはどんな時間帯に行っても効果を期待できるのですが、余裕のある人は、午後から夕方にかけて運動をすると、インスリン抵抗性をより軽減しやすく、したがって血糖コントロールの改善にもつながることが分かりました」

 「インスリン抵抗性を軽減するための運動は、ウォーキングの速度を少し上げるなどして、強度が強めの活発なものが勧められます」

van der Velde, J.H.P.M., Boone, S.C., Winters-van Eekelen, E. et al. Timing of physical activity in relation to liver fat content and insulin resistance. Diabetologia (2022).

同センター臨床疫学のイェロエン ファン デル ヴェルデ氏は言っています。

午後から夕方にかけてのウォーキングがインスリン抵抗性の改善、糖尿病の予防に最適ということですね。

以下本研究について詳しく解説していきます。

体の代謝を高めるための運動は、1日でどんなタイミングで行うと良い?

研究グループは今回の研究で、座ったままの時間を中断し、体を動かし運動をすることで、インスリン抵抗性が改善し、最終的に2型糖尿病のリスクが減少するという仮説を立てました。

 では、体の代謝を高めるために行う運動や身体活動のタイミングは、1日のどの時間帯が良いのでしょうか? これまでの動物を対象とした基礎研究では、運動をする時間帯により、運動能力や関連する代謝リスクに違いがあることが示されています。

 研究者らは、肥満に関連する代謝疾患の発症リスクについて調査した前向きコホート研究である「オランダ肥満症研究」のデータを解析しました。対象となったのは、2008年~2012年に研究に参加した、45歳~65歳で体格指数(BMI)が27以上の地域住民6,671人。

 研究グループは、参加者に健診を受けてもらい、血液サンプルも提供してもらいました。空腹時と食後の血糖値とインスリン値を測定し、生活スタイルについてのアンケートに答えてもらいました。参加者の35%には、MRI(核磁気共鳴画像法)検査を受けてもらい、内臓や肝臓にたまった脂肪も測定しました。

 さらに、955人の参加者については、活動量と心拍数を測定できるデバイスを4昼夜連続して身に付けてもらい、身体活動のエネルギー消費量も測定しました。

午後から夕方にかけての中強度の運動がもっとも効果的

運動や身体活動の量や強度は、「メッツ(METs)」という単位であらわされる。静かに座っている時を1メッツとして、その何倍の消費カロリーに相当するかで、運動や身体活動は測定されています。

 座ったまま過ごしていると、運動量は1.5メッツ以下だが、立ち上がって軽く歩き回ると、運動量を1.5~3メッツに増やせる。活発なウォーキングや筋トレなどを行うと、運動量は3メッツ以上になります。

 試験に参加した平均年齢が56歳、平均BMIが26.2の775人男女のデータを解析した結果、軽めの運動や、活発なウォーキングなど中高強度以上の運動を行っている人は、肝臓にたまる脂肪が減り、インスリン抵抗性が少ないことが示された。運動の強度が高いほど、より効果を得られることも分かりました。

 さらに、運動をする時間帯を、朝(午前6時~12時)、午後(午前12時~午後6時)、夕方(午後6時~12時)に分けて比較したところ、午後から夕方にかけて活発な中高強度以上の運動をするのがもっとも効果的であることが示されました。

 インスリン抵抗性は、1日を通して均等に身体活動や運動を行うと、18%低下したが、午後から夕方に運動量が3メッツ以上の中高強度の運動を行うと、25%も低下していました。

軽めの運動は1日のどの時間帯に行っても同じ効果が

なお、座位時間を中断して行う運動量が1.5~3メッツの軽めの運動は、1日のどの時間帯に行っても同じような効果があることも分かりました。

 「もっとも危険なのは、座ったまま過ごす時間が長く、体をほとんど動かさないでいることです。座位時間を中断して立ち上がり、オフィスや自宅で軽く歩いてみるだけでも効果を期待できます」と、ファン デル ヴェルデ氏は言います。

 「しかし、肝臓に脂肪がたまるのを防いだり、インスリン抵抗性を改善したいのなら、もう少し強度の高い、活発な運動を行うことをお勧めします。休憩時間などに行う軽めの運動に加えて、午後や夕方に活発なウォーキングなどの強めの運動を行うことで、肥満や2型糖尿病などの代謝疾患の改善を期待できます」としています。

運動を少しずつ取り入れる方法

まずは、気軽にできる簡単なストレッチや体操から始めてみるのがおすすめです。

急に激しい運き動きをするものではないため、普段あまり運動をしない人にとってもハードルが低く、思い立ったときに始めることができます。

また朝夕の通勤時間を使って効率的に体を動かすことができる徒歩通勤や自転車通勤もおすすめです。

通勤のように、1駅前で降りて歩いて帰宅するなど、

帰宅するという目的を達成する為に徒歩を手段として用いることは

歩くことを目的とするより続きやすいことかもしれません。

これから歩くと思うと憂鬱だけれど、帰宅するためなら歩くしかないのように環境から運動できるように整えることは有効です。

運動に慣れてきたら、強度を少し上げてみる

 運動をする習慣は、さまざまな好ましい効果をもたらします。運動を行うことで、血糖値が低下し、血圧や脂質も改善すると言われています。血糖を下げるインスリンの効きも良くなり、血糖値が下がりやすくなります。

 「ほとんどの日常での身体活動は軽い強度のものですが、インスリン抵抗性を改善するためには、もう少し強度の強い身体活動や運動も必要と考えられます。とくに糖尿病のある人にとって、運動をする習慣は大切です」と指摘しています。

 運動や身体活動行う時間帯やタイミングについては、より多くの研究が必要になるが、これまでの研究でも、強度が強めの運動に対する体の代謝反応は、運動が行われた時間帯によって異なることが示されています。

 ファン デル ヴェルデ氏は、筋力や骨格筋の細胞の代謝機能は午後遅くにピークを達するので、その時間帯にもっとも活発に活動することで、午前などの時間帯の活動よりも代謝反応がより亢進する可能性を示唆しています。

まとめ

夕方の軽い運動はインスリン抵抗性を下げ、糖尿病の予防になる。

少しずつ運動習慣を身につけることは健康にもダイエットにも有効と言えます。

午後から夕方のウォーキングをぜひやってみてくださいね!

ファイヤークリニック

PROFILE

江越 正敏
江越 正敏FIRE CLINIC総院長
2017年 佐賀大学医学部 卒業
2017年 都立松沢病院 勤務
2019年 都立多摩総合医療センター 勤務
2020年 FIRE CLINIC新宿院 開院
2021年 渋谷院、銀座院開院
2023年 新宿、渋谷、銀座、名古屋の4院に展開しFIRE CLINIC総院長を務める。
2024年 公益財団法人ルイ・パストゥール医学研究センター 再生医療研究室 特任研究員

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