フェンテルミン・トピラマート(トピナ)は痩せる?最強の食欲抑制薬のダイエット効果について

– この記事の監修者 –

江越正敏
ファイヤークリニック総院長

佐賀大学医学部を卒業後、病院・美容クリニックでの勤務経験を経て、2020年にファイヤークリニック開業。美容医学、遺伝子学、栄養学、精神医学など肥満治療に関わる多方面から痩身医学研究と実践をする。精神科医としても臨床に当たっており、西洋医学から東洋医学に渡って世界中から集積した独自の短期集中型医療ダイエット「ファイヤーメソッド」を開発。

フェンテルミン・トピラマートとはどんな薬?

フェンテルミン-トピラマートはアメリカで処方されるQsymiaという商品名のことです。Qsymiaの中にフェンテルミン、トピラマートという成分が配合されている薬です。

トピラマート (英:Topiramate:略記TPM) は、抗てんかん薬のであり、脳神経疾患、精神疾患の患者さんにおいて使用されることが一般的です。日本では2007年よりトピナの商品名で販売されはじめました。適応は他のてんかん薬で十分な効果がない部分発作に対する補助薬という位置付けで、現在ではあまり処方される機会は見かけません。

トピラマートはダイエットの面では、脳にはたらきかけて衝動的な食欲を抑える効果があります。

またフェンテルミンはアンフェタミン(覚醒剤)の類似物質であり、食欲抑制作用と、交換神経を活性化し、心拍を早め代謝を上げる作用があります。

フェンテルミン-トピラマートはQsymiaというダイエット薬としてアメリカで販売されています。以前よりダイエット薬として注目されていましたが、日本では処方されることは滅多にありません。しかし、Lancetという世界一の医学雑誌に2022年に取り上げられ、あのGLP-1よりもダイエット効果が高い薬とのことで、評価されています。これからダイエット薬として有名になる可能性が高い薬だと言えるでしょう。

フェンテルミン-トピラマートは副作用が強い薬としても有名でして、一般的な副作用には、うずき、めまい、睡眠障害、便秘などがあります。深刻な副作用には自殺などがあります。妊娠中の使用は推奨されていません。2012年にアメリカでは承認されましたが、ヨーロッパや日本では安全性の問題から承認されていません。

トピラマートのダイエット効果【なぜ痩せる?】

2022年に出された医学論文を引用します。

High to moderate certainty evidence established phentermine–topiramate as the most effective in lowering weight followed by GLP-1 receptor agonists.

(※日本語訳:フェンテルミン-トピラマートが体重を減らすのに最も効果的であり、GLP-1受容体アゴニストがそれに続く。)

Shi, Qingyang et al. “Pharmacotherapy for adults with overweight and obesity: a systematic review and network meta-analysis of randomised controlled trials.” Lancet (London, England) vol. 399,10321 (2022): 259-269. doi:10.1016/S0140-6736(21)01640-8

Lancet,2022 fig5より改変

上記の通り、フェンテルミン-トピラマートはGLP-1よりも効果的な体重減少作用を持つダイエット薬と言えます。

画像の右側にある薬ほど体重減少をきたしやすい薬です。

上記の画像について、他のダイエット薬を簡潔に説明すると、

フェンテルミン-トピラマート:脳に効く食欲抑制作用。さらに、交感神経も活性化する。

GLP-1受容体アゴニスト:脳に効いて食欲を抑え、代謝を上げる。

ナルトレキソン:アルコール中毒の治療薬であり、いろんな欲そのものを抑える。

オルリスタット:油の吸収を抑え、油っぽい便が出る。

メトホルミン:食欲抑制作用以外に便から糖質を排泄する作用がある。

プラムリンタイド:食欲を抑える。満腹だと脳を勘違いさせる。

SGLT-2阻害薬:尿から糖分を出す。

レボカルニチン:脂肪の燃焼を助ける。

トピラマートは精神疾患がバックグラウンドにあって、過食の傾向がある際に玉に処方する薬としての位置付けでしたが、あのLancet(世界一の有名医学雑誌)さんが、トピラマートが一番体重減少作用があると論じているわけです。もしかすると今後の保険診療での使用なども日本においても見直されてくる可能性があると思われます。

トピラマートの臨床研究【1年で8-10kg痩せる】

フェンテルミン-トピラマートの臨床研究を見ていきましょう。

BMI30以上の756人の肥満被験者に対して、フェンテルミン7.5mg/トピラマートER46mg,フェンテルミン15mg/トピラマートER92mgを56週間投与した。56週間後には、フェンテルミン7.5mg/トピラマートER46mg投与群においては、平均-8.1kg体重減少を認め、フェンテルミン15mg/トピラマートER92mg投与群においては、平均-10.2kg体重減少を認めた。

Garvey WT. Phentermine and topiramate extended-release: a new treatment for obesity and its role in a complications-centric approach to obesity medical management. Expert Opin Drug Saf. 2013 Sep;12(5):741-56. doi: 10.1517/14740338.2013.806481. Epub 2013 Jun 6. PMID: 23738843; PMCID: PMC3786546.

フェンテルミン-トピラマートは一年で8-10kgほど体重減少を示す、かなり優秀な薬のようですね。

トピラマートの内服方法

午前中に1日1回内服します。

・フェンテルミン3.75 mg/トピラマート23mg(開始用量)

・フェンテルミン7.5 mg/トピラマート46mg(推奨用量)

また、フェンテルミン15 mg/トピラマート92mg(最高用量)

最初はフェンテルミン3.75 mg/トピラマート23mgから開始し、医師の指示の元推奨用量まで増減可能です。

フェンテルミン-トピラマートは、BMI30以上または、BMI27以上で高血圧、2型糖尿病、高コレステロールなど体重と関連する疾患が認められる方への処方が推奨されます。また、低カロリーの食事と身体活動の増加と一緒に使用する必要があります。

トピラマートの副作用

一般的な副作用(頻度の高い副作用)

・手、腕、足、または顔のしびれまたはうずき(知覚異常)

・動悸、めまい

・食品の味覚の変化または味覚喪失(味覚消失)

・睡眠障害(不眠症)

・便秘

・口渇

重大な副作用

・妊娠中に使用すると口唇口蓋裂などの先天奇形のリスクの上昇

・心拍数の増加

・自殺念慮または行動

・視力の突然の低下

トピラマートの購入方法【保険適用で処方してもらう方法は?】

フェンテルミン-トピラマートは日本では承認されておらず、当院でも取り扱いはございません。

今後日本への流通があれば処方可能になる可能性もあります。

フェンテルミン-トピラマートのまとめ・ファイヤー院長の意見

フェンテルミン-トピラマートがlancetという有名雑誌に載ったので、ダイエット専門医として、こちらの記事を執筆しましたが、まだ日本では承認されてない薬ですので、あまり推奨はしません。

しかし、危険な薬ではありますが、効果的なダイエット薬ではあるので、どうしても痩せられず生活習慣病になっている人などは使用した方がメリットの大きい薬かもしれませんね。

FIRE CLINICでは他のお薬もさまざまに取り扱いがありますので、ダイエット専門医師と相談して、適切なダイエット薬を処方してもらいましょう。

医療ダイエットのまとめ記事はこちら

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ファイヤークリニック

PROFILE

江越 正敏
江越 正敏FIRE CLINIC総院長
2017年 佐賀大学医学部 卒業
2017年 都立松沢病院 勤務
2019年 都立多摩総合医療センター 勤務
2020年 FIRE CLINIC新宿院 開院
2021年 渋谷院、銀座院開院
2023年 新宿、渋谷、銀座、名古屋の4院に展開しFIRE CLINIC総院長を務める。
2024年 公益財団法人ルイ・パストゥール医学研究センター 再生医療研究室 特任研究員

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